邦人３人解放　残る１人拘束は「日本の出方うかがう」と外務省幹部

　中国河北省で拘束されていた準大手ゼネコン「フジタ」の日本人社員４人のうち、３人が３０日午前、拘束を解かれたことで、関係者からは「最悪の事態からは一歩前進した」との受け止め方が広がった。ただ、依然１人は身柄拘束されたまま。恫喝同然に揺さぶりを加える中国のやり方に不信感がくすぶっている。

　「解放が事実ならば喜ばしい」「無事を願っている」。３人が解放されたとの突然の報に「フジタ」（東京都渋谷区）では、従業員に安堵が広がった。担当者が外務省や中国の日本大使館などに電話で連絡を取り、４人の健康状態や現在の所在などについて確認を進めた。従業員の男性は「解放が事実ならば喜ばしいことだ」と話した。総務部広報担当の小野寺喜彰さんは「突然の中国の報道に驚いている。無事を願っている」と話した。

　ただ、依然として１人は拘束されたままで困惑した様子。３人が解放時に中国当局から軍事施設への立ち入りを２度と行わないとする誓約書に署名したとされることについては「確認中なので分からない」と明言を避けた。４人拘束時の２４日の会見で同社は「（尖閣諸島沖での事件が関係し）拘束が意図的であるなら大変遺憾だ。社員の早期解放を望む」と表明。尖閣の事件と４人拘束に関連があれば「遺憾であるとの社のスタンスは変わらない」としている。

　外務省でも現地法人に出向している高橋定さんだけが依然拘束されていることについて「小出しに解放することで、日本政府の今後の出方をうかがっているのではないか」（外務省幹部）と指摘。「衝突事件を起こした中国漁船の乗組員１４人はすぐに帰国させ、船長だけを拘束した日本政府への当てつけではないか」（官邸筋）との冷めた見方もあり、引き続き高橋さんの解放を求めている。

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