「東レ・パンパシフィックOP第4日」(29日、東京有明テニスの森公園)
シングルス3回戦で、世界ランク67位のクルム伊達公子(40)=エステティックTBC=は、今年の全仏の覇者で同8位のフランチェスカ・スキアボーネ(30)=イタリア=にストレートで敗れた。元世界ランク1位のマリア・シャラポワ(ロシア)、世界ランク29位のダニエラ・ハンチュコバ(スロバキア)を撃破した快進撃は8強を前にストップした。また、森田あゆみ(キヤノン)と組んだダブルス1回戦もストレートで敗れ、日本勢はすべて姿を消した。
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大声援が、大きなため息に変わった。平日にもかかわらず、今大会最多の6440人が詰めかけた有明コロシアム。大観衆の視線を一身に集めた伊達は、寂しそうな笑みを浮かべ、スキアボーネと握手を交わした。40歳の旋風が止まった。
「疲れはあったけど、試合が始まってからは筋肉もほぐれて悪くはなかった。でも、彼女が良かった。何もできなかった」
第1セット、サービスゲームをブレークするスタート。だが、そこから5ゲーム連取を許すと、第2セットも3‐2から逆転された。「私の倒し方を知っている。走らされた。第2セットは足を常に動かすようにしたけど…」と脱帽した。
「毎日ベストのパフォーマンスをするのは難しい」。40歳の体は、疲労困ぱいだった。今季は試合中に両脚にけいれんを起こすこともあり、8月には左太もも裏も痛めた。今大会はシャラポワ、ハンチュコバと2日連続で元世界トップ10を倒した。この日は「起きたときに、いいとき、悪いとき、とても悪いときがある。今朝は背中に疲れがあった」と明かした。
敗戦後、万雷の拍手が起こった。「お客さんは私をサポートしてくれた。たくさんのエネルギーをもらった」。温かい拍手が鳴りやまなかった。