米下院が可決した対中制裁法案はＷＴＯ規則違反＝中国

　［北京　３０日　ロイター］　中国商務省は、米下院が可決した人民元切り上げを促す対中制裁法案について、世界貿易機関（ＷＴＯ）が定める規則に違反するとの見解を示した。新華社が３０日報じた。

米下院、人民元切り上げ促す対中制裁法案可決

　法案は、人民元相場が不当に割安な水準に維持されていることが違法な補助金にあたるとし、米商務省が米国に輸入される中国製品に対し相殺関税を課すことを認めるといった内容。

　新華社によると、商務省の姚堅報道官は「為替水準を理由に、対抗して調査を始めることは、関連するＷＴＯ規則に準じていない」と反論した。

　同法案の成立には、上院の承認を得た上で、オバマ米大統領が署名する必要がある。

　一方で報道官は、中国は米国と共に、米中間の貿易不均衡是正に向けた協調策について積極的に取り組んでいくと発言し、歩み寄りの姿勢も示した。その上で「米中両国間の長期的な経済・貿易関係および米国の国益にプラスとなるような正しい結論を下すよう、米国のすべての当事者が事実を客観的かつ包括的に評価することを望む」と述べた。

　ただ、米国が抱える巨額の対中貿易赤字は、人民元が過小評価されていることを示しているとの米国の主張には反論。「米国は、対中貿易赤字だけを理由に、元が過小評価されているとは言えない。またこの主張に基づいて、保護主義的な措置を講じることもできない」と述べた。また「中国の貿易収支は対米では黒字だが、他の多くのアジア国・地域に対しては赤字だ」とした。

　中国は、米国との貿易不均衡に関して、経済の構造的要素、特に米国の貯蓄率の低さを反映していると一貫して主張している。

　エコノミストの多くも、中国での生産コストが過度に上昇した場合、米企業は生産拠点を他の途上国に移すだけで、国内にはおそらく戻さないとの見方を示している。

　ＡＮＺは顧客向けノートで「他の低コスト国が、次の中国になることを狙っているなかで、元が上昇しても、米国の貿易赤字が縮小し、失業が減ることはほとんどない」と述べた。


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