レンジャーズ戦の1回、左前打を放つマリナーズのイチロー=レンジャーズ・ボールパーク(共同)
「レンジャーズ1‐3マリナーズ」(28日、アーリントン)
無安打に抑えられた前夜のうっ憤を晴らした。プレーボール直後の打席で左前打を放ったマリナーズのイチローが、五回の三塁内野安打で今季67度目の複数安打。先制のホームも踏んでチームの3連勝をお膳立てした。
この日の2安打で9月の月間安打数は38本。27試合で37安打を放った5月より少ない25試合で、今季の最多月間安打を更新してみせた。
今月23日に10年連続200安打に到達。その後も勢いを継続し、シーズン207安打まで記録を伸ばしている。そこにあるのは、ヒット1本に対する強い気持ち。「それで(偉業を達成して)変わる意味が僕には分からない。(どんな時も安打を)出そうとすることは変わらない」。淡々とした口調に自信が垣間見えた。
そんなイチローにメジャーの審判団も興味津々だ。前夜に続き、この日も初回の守備を終えてベンチに戻ろうとするイチローを塁審が呼び止め、質問攻めだ。「打席に入る前に必ずやる屈伸が気になって『どうすればあんなに体が柔らかくなるの?』って聞いたんだよ」。とハーシベック塁審。「イチローは『両親からの遺伝』と答えていたけども、あの柔軟性は興味深い」とうれしそうに話した。
今季157試合目。全試合に出場しているのはア・リーグではイチローただ一人。残り5試合。小さな鉄人がゴールに向かって加速する。
(2010年9月29日)