◆朝日新聞社の世論調査

 朝日新聞社では、「電話」「面接」「郵送」などの方法で、国民の意見を探るさまざまな世論調査を実施しています。このうち、内閣支持率などを調べる毎月の調査や、大きな出来事があったときに実施する緊急調査は、「朝日RDD」方式による電話調査で行っています。

◆「朝日RDD」とは

 「RDD」とは「ランダム・デジット・ダイヤリング(Random Digit Dialing)」の略で、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて番号を作り、電話をかけて調査する方法です。この方式だと、電話帳に番号を掲載していない人にも調査をお願いすることができるため、電話帳から番号を調べる方式より偏りなく調査の対象となる人を選ぶことができます。 朝日新聞社では、選挙情勢を探る調査で、1999年11月の奈良県知事選挙から調査方法を「朝日RDD」方式に切り替え、選挙結果の予測などが正確にできることを確認しました。そのうえで、2001年4月から内閣支持率などを調べる全国世論調査についても「朝日RDD」方式に切り替えました。

◆電話番号の作り方

 電話番号は[市外局番]-[市内局番]-[家庭用番号]の計10桁の数字でできています。朝日新聞社では、全国の電話帳に記載されている番号を参考にして、実際に使われている上8桁の番号をリストにして保存しています。このリストはあらかじめ、それぞれの上8桁番号がどの地域で多く使われ、電話帳にはどのぐらいの件数が掲載されているか、などの情報をもとに分類してあります。

 そして、調査に使う電話番号を実際に作る際、このリストの中から、調査対象地域や電話帳への掲載度合いなどに偏りが出ないよう工夫したうえで、上8桁の番号を無作為に選びます。

 次に、残りの下2桁を00〜99の範囲で乱数を発生させて計10桁の番号を作ります。

 このようにして作った電話番号の中には、使われていない番号も多く含まれるため、これを自動判別するコールシステムによってふるいにかけ、残った番号を調査に使います。

◆調査の進め方

 調査当日は、これらの番号にオペレーターが次々と電話をかけます。朝日新聞では、機械による自動音声を使っての調査は実施していません。

 世論調査の対象となるのは、一般世帯に居住する有権者です。もし、電話が法人など一般世帯以外につながった場合は対象外として処理します。

 世帯に電話がつながったら、調査の趣旨を説明した後、その世帯に住んでいる有権者の人数を聞きます。コンピューターでサイコロを振る形で、その中から1人を選んで調査の対象者になってもらいます。電話に最初に出た人を対象にすると、在宅率の高い主婦や高齢者の回答が多くなってしまい正確な調査になりません。

 選ばれた人が不在でも、一度決めた対象者は変えず、時間を変えて最大6回まで電話をかけます。また、すぐには応じていただけない場合でも、重ねて協力をお願いしています。これも、回答者の構成を「有権者の縮図」に近づけるためです。

 また、調査は原則午後10時まで(予約ができれば午後11時まで)行い、仕事などで帰宅が遅い人からも回答してもらえるようにしています。

◆集計方法にも工夫

 世論調査の対象となる人は、偏りなく等しい確率で選ぶ必要があります。そのため、集計の際に世帯内に一緒に住んでいる有権者の人数や固定電話の本数に応じて、統計的に等確率で選ばれた結果になるように以下のような調整をしています。

 【固定電話の本数に応じた調整】自宅に2本の固定電話を持っている世帯があります。この場合、1本しかない世帯に比べて電話がかかってくる確率は2倍になるため、得られた回答結果に対して数値を2分の1にする調整をします。

 【有権者の人数に応じた調整】電話がつながって調査対象者を選ぶ際、ひとり暮らしの世帯ではその人が対象者に選ばれるのに対し、同居する有権者が多い世帯ではそのうちの1人だけが選ばれるため、ひとり暮らしの人は調査に当たる確率が高いといえます。そのため、世帯内に一緒に住んでいる有権者の人数に応じて調整をします。

 【年代など】上のような調整をしたうえで、さらに、全体として地域別、性別、年代別の構成比のゆがみをなくす補正をします。回答者の構成比が総務省発表の実態構成比と同じになるようにします。

◆よくある質問

Q 電話番号はどうやって調べたのか

A 電話帳などのリストで電話番号を調べてかけているわけではありません。番号をコンピューターで無作為に作成して電話をかけています。そのため、電話帳に番号を載せていないお宅にも電話がかかります。

Q 個人情報を持っているのか

A コンピューターで無作為に作った電話番号をもとに電話をかけているため、住所や氏名など個人を特定する情報は一切持っておりません。また、調査に使用した電話番号を、世論調査以外の目的に使用することは一切ありません。

Q 朝日新聞を購読していないのに電話がかかってきた

A 世論調査の対象者は購読紙といっさい関係なく、有権者のみなさまに幅広い皆様にお願いしております。新聞の勧誘とも関係ありません。

Q 持っている固定電話の本数をなぜ聞くのか

A 固定電話を2本持っている場合、そのお宅に電話がかかる確率は、電話が1本のお宅の2倍になります。こうした確率の違いを電話番号の数に応じて統計的に補正するためにうかがいます。

Q 有権者の人数をなぜ聞くのか

A 最初に電話に出た人だけに調査をお願いすると、性別や年齢などに偏りが出て正確な調査になりません。一緒に住んでいる有権者の中から無作為に選ばせていただくためにうかがいます。

Q なぜ何度も電話するのか

A 朝日新聞社では、調査の対象となった方が留守の場合、時間を変えて最大で6回電話をかけて調査へのご協力をお願いしています。不在だからとやめてしまうと、「その時間に在宅していた人」からの回答に偏ってしまい、正確な「有権者の縮図」をとらえることができません。

 また、「興味がないから答えたくない」などと断られても、再度お願いの電話をする場合もあります。これは1度の電話では調査の趣旨を十分ご理解いただけないことがあるためです。より多くの方から回答をいただくことで正確な調査になります。ご理解ください。