クジラの希少種「タイヘイヨウアカボウモドキ」の死骸(しがい)が函館市石崎町の浜辺に漂着していたことが、北大水産科学研究院の松石隆・准教授らの調査で分かった。国内では02年に鹿児島県で発見されて以来2例目で、これまで確認されている分布域の北限を更新。生態を知るうえでも貴重な資料になるのではと期待されている。
タイヘイヨウアカボウモドキは、オーストラリアから日本にかけての太平洋やインド洋などに生息するとされ、口が長く、体表に白い斑点が多いのが特徴。25日早朝に死骸が打ち上げられているのを住民が発見した。
松石准教授によると、体長6・19メートルのメスの成体とみられ、目立った外傷はなく、死後数日経過していたとみられる。
世界的にも「幻のクジラ」と呼ばれる希少種で、これまでの生息分布の北限は鹿児島県。松石准教授は「道内に漂着するとは考えられなかった。今後、分布域の見直しが必要になる」と話している。【近藤卓資】
毎日新聞 2010年9月28日 地方版