財政の建て直しが課題になっているヨーロッパで、各国政府が進める緊縮政策によって暮らしが圧迫されているとして、各国の労働組合が一斉に大規模な抗議行動を行いました。
EU=ヨーロッパ連合は、ギリシャの財政危機をきっかけに各国が財政の立て直しに取り組む必要に迫られ、社会保障や教育予算の削減、それに年金の受給年齢の引き上げなどの緊縮政策を打ち出しています。これに対し、各国の労働組合は、こうした政策によって暮らしが圧迫されているとして、29日、およそ10か国で一斉に大規模な抗議行動を展開しました。このうち、スペインでは、主要な労働組合が8年ぶりにゼネストを呼びかけ、公共交通機関の多くが止まるなど、市民の生活に影響が出ました。EUの本部があるベルギーでも、30か国の労働組合のメンバー数万人が集まってEUの建物の周りでデモを行ったほか、ギリシャやイタリアなどでも抗議行動が行われ、参加した人たちは政策の見直しを訴えました。また、各地で警察との小競り合いも相次ぎ、スペインのバルセロナでは警察の車両が燃やされる事件が起きました。EUは、ギリシャ危機の教訓から、加盟国の財政規律を厳格化する方向で検討を進めており、今後、各国で労働組合と政府の対立がさらに深まっていくことが懸念されます。