2010年9月30日21時17分
財務省は30日、8月30日から9月28日までの1カ月間に実施した為替介入の総額が2兆1249億円だったと発表した。月額ベースで公表している2003年5月以降では、過去7番目の規模。政府・日本銀行は9月15日に急激な円高を止めるため、6年半ぶりに円を売ってドルを買う介入をしたが、円高は再び進んでおり、市場では追加介入が焦点になっている。
この1カ月間で公式に確認できた介入は、野田佳彦財務相が公表した15日分のみ。その後、政府は介入したかどうかを一切認めず、投機筋を牽制(けんせい)する動きに出ている。1日単位の介入額は11月初めに発表されるが、介入が1回だけならば、1日あたりの円売り介入としては過去最大だ。
9月15日の政府・日銀による為替介入で、1ドル=82円80銭台だった円相場は一時、85円台後半まで戻した。しかし、その後もじわじわと円高が進み、東京外国為替市場の円相場は30日午後、一時1ドル=83円19銭と、介入後の高値を更新。介入時の円高水準が近づいてきた。午後5時現在は、前日午後5時時点より29銭円高ドル安の1ドル=83円31〜32銭だった。
市場では、「介入がなければすぐ80円台に達しただろう。そのくらい強い円高圧力だ」(みずほコーポレート銀行の唐鎌大輔マーケット・エコノミスト)と当初の介入効果を評価する声はある。一方で、最初の介入から2週間が過ぎ、効果が徐々に薄れているのも確かだ。元財務官の加藤隆俊・国際金融情報センター理事長は「世界的な通貨の切り下げ競争が懸念されているなかで、追加の介入は難しい判断を迫られる」と語る。
第一生命経済研究所の熊野英生・主席エコノミストは「心理的な影響を大きくするため、最初は巨額介入に踏み切ったのではないか。ただ、巨額介入を続けては国際的な理解が得られず、今後はタイミングが重要だ」と指摘する。(福田直之、野島淳)