2010年9月30日21時28分
わいせつ画像や薬物の売買など、インターネット上に掲載されている違法な情報をめぐり、警察庁は通報があったすべての事案の発信エリアを調べ、管轄する都道府県警に通知する方針を決めた。ネット犯罪の捜査に長じた警視庁に分析を依頼して発信元のIPアドレスを割り出し、都道府県警に書き込んだ人物の特定を進めさせる。ネット社会の拡大に伴って違法情報も急増しており、どの警察が取り扱うべき事案かを明確にして捜査を促すねらいがあるという。
警察庁はネット上の違法情報について、かねて財団法人のインターネット協会に情報収集を委託。同協会が運営する「インターネット・ホットラインセンター」が一般からの通報を受け付けている。
2009年の違法情報の確認件数は2万7751件で、通年のデータを取り始めた07年の2倍強になっている。しかし、一方で立件に至ったのは110件と全体の0.4%にとどまる。寄せられた違法情報については、これまで容疑者にたどりつくような詳しい分析がされておらず、件数も多いため、具体的な捜査につながりにくかったという。
警察庁は今後、「ホットラインセンター」に寄せられた情報を警視庁に提供。警視庁はサイトの管理者に照会するなどしてIPアドレスを調べ、違法情報を書き加えた場所を都道府県単位で割り出す。解明した情報は所管する警察本部が引き継ぎ、書き込んだ人物の捜査に役立てるという。各警察本部に対しては、捜査結果の報告を求めるとしている。新方式の導入に合わせ、警察庁は地方警察官350人の増員を来年度に向けて予算要求している。
警察庁によると、今年上半期(1〜6月)に見つかったネットの違法情報は1万8542件で、前年同期比で75%増えた。大人のわいせつ画像が半分を占め、児童ポルノ(14%)、覚せい剤など規制薬物の売買(13%)も目立つ。(五十嵐透)