2010年9月30日20時22分
江戸時代に書かれた執心切れ文書。慰謝料の金額が明示されている
別れた後も元恋人などに付きまとわれる「ストーカー被害」は、昔からあった。群馬県太田市徳川町の縁切寺満徳寺資料館で展示している「執心切れ一札」と呼ばれる文書は、男女の別れの難しさを物語っている。
展示史料は、「執心がましき儀御座なく候」という関係解消を明言する文言を含む男女の念書で、江戸時代後期の天保年間(1830〜44)から明治32(1899)年までの東毛地域を中心とした25点。
相互に交わした文書のほか、片方から一方的に出されたものもある。慰謝料の支払いが明記された文書も複数あり、後難を避けたい方が払ったと見られる。
交際していた2人の個人名だけが署名された文書がある一方、家族のほか、町役人や若衆組といった公的立場の人が「世話人」として名を連ねたケースも多い。
高木侃(ただし)館長は「離婚は社会的に公示され、周知されるが、未婚の場合はそうはいかない。公的な文書を交わすことで、交際相手から後日被害を受けることを未然に防ごうとしたとみられる」と話している。
展示は11月7日まで。月曜休館(10月11日は開館、12日休館)。入園料200円、小中学生無料。10月3日午後2時からは満徳寺復元本堂で高木館長の講演会、同17日午後2時からは資料館で展示の解説会がある。問い合わせは資料館(0276・52・2276)へ。