「帰りました」 木製のドアを開け、広すぎるリビングに入ると、フワッと暖かい空気に迎えられる。 外の寒さが嘘のようで、首に巻きつけた白いマフラーを外す。 「おかえりなさい、あすかさん」 奥のキッチンの方から声がする。 スラッと背の高い、茶髪の女の人の後ろ姿が見えている。 「うん、ただいま、沙希さん」 吉川沙希さんは私のうちのお手伝いさん。 まだ23歳で、女の私から見ても惚れちゃうくらい美人だ。 きれいに茶に染めた、真っ直ぐの髪。パッチリとした大きな目。ふっくらとやわらかそうな唇。 去年大学を卒業したけど、何かの理由で就職せず、親が知り合い同士だったウチに使用人としてやってきたらしい。 何で就職しなかったのかは詳しく聞いてない。 それを聞こうとすると、すごく悲しそうな表情になるから。 「寒かったでしょう。もうごはん出来てますから、すぐ準備しますね」 「うんわかった。いつもありがとね」 うちはお父さんもお母さんも仕事で遅いから、沙希さんみたいな使用人と呼ばれる人が私の夕食を作ってくれている。 3人いる使用人のうちでも一番若く、美人の沙希さんが私は大好きだった。 冗談も言うし、相談にも乗ってくれる。 他の2人はもう40代のおばさん達で、優しいけど、はっきり言って共通の話題があまりない。 制服のまま、テーブルに着き、いつものドラマにチャンネルを合わせる。 よかった、まだ始まったばかりだ。 「お父様は?」 夕食を運んでくれる沙希さんに尋ねる。 「賢一お父様はまだ帰られておりません。裕子お母様も、今日は遅くなるとのことです」 「ふ〜ん、そっか。お仕事忙しいもんね・・・」 わかっている。 二人とも医者だし、患者の為に、という高い志を持って仕事をしているところは尊敬すべきだろう。 でも・・・ ・・・患者さんの為に、私まで犠牲にするのかな・・・? 医者なんだから仕方がない、と自分を納得させると、私は目の前に用意されたハンバーグに手を伸ばす。 テレビからは恋人の名を叫ぶ主人公の声が聞こえていた。 食事を終えテレビを見ていると、片付け終わった沙希さんが帰り支度をして現れた。 「そろそろ帰りますね。お風呂入ってますからどうぞ」 「うん、ありがと。また話したいことあるから・・・明日は塾ないから、また明日話すね」 「はい、じゃあおやすみなさい」 「おやすみなさい」 私は玄関で沙希さんを見送ると、テレビを消して部屋に向かう。 階段で二階に上がり、廊下の突き当りが私の部屋。 手探りで電気を点けて中に入る。 ううっ・・・寒い・・・ ファンヒーターのスイッチを入れるとベッドに倒れこむ。 制服のチェックのスカートが捲れ、少しパンティが露わになっているけど気にしない。 なんか・・・今日の塾は疲れたな・・・体がだるい感じ・・・ 寝返りをうつと、捲れていたスカートが元に戻った。 ベッドの枕元に置いてあるMDコンポのリモコンを手に取り、電源を入れる。 お気に入りの女性歌手のバラードが流れ始める。 ゆったりとした気分で、ベッドの上に座り、カバンの中を整理していく。 ・・・今日の塾・・・なに勉強したんだっけ・・・? なんだかうまく思い出せない。 体に疲れが溜まっているみたいだ。 「・・・まぁいっか」 誰に言うともなしに呟いた。 塾かぁ・・・桐山先生・・・今日もカッコよかったなぁ・・・ 先生のことを考えると一人でニヤけてしまう。 始めて見た時の第一印象は、線が細くて頼りなさそう、って感じだった。 でも・・・週に3度、顔を合わせ、勉強を教えてもらっているうちに、だんだんと惹かれていった。 このことは加奈にも言ってない。 なんとなくだけど・・・加奈も桐山先生のこと・・・ 優しくて、面白くて、カッコいい・・・ 桐山先生は・・・私のこと、どう思ってるんだろう・・・? そこまで考えたとき、不意に頭の中に声が響き渡る。 『あすか・・・君は自慰がしたくてたまらくなる・・・』 えっ?・・・なに・・・?なんなの・・・?この声は・・・きりやま・・・せんせい・・・? 『さあ何も考えずに・・・気持ちよくなるんだ・・・』 頭の中の声が私の心を捕まえる。 私の体を支配していく。 その声からの逃げ道は、私には無かった。 わ・・・た・・・し・・・きもちよく・・・なりたい・・・ ベッドに座ったまま、右手がゆっくりと股間に伸びていく。まるで私の意思とは関係ない、別な生き物のように。 壁に寄りかかり、脚が左右に開いていく。見えない何かに操られるように。 左手が胸を揉み始める。そうすることが当然のように。 右手がスカートを捲り、パンティ越しに私の肉溝を擦る。 「んっ・・・・・・はぁぁ・・・・・・」 それだけで思わず声を上げてしまう。 なんだか・・・いつもより・・・気持ちいい・・・ Mの字のように開いた私の股間の中心が熱く潤っていく。 左手は制服をはだけて、ブラの隙間から中に入り込み、小さく尖った先端を指先でコリコリと刺激する。 「んぁ!・・・くふぅ・・・ん・・・」 それが凄く気持ちよくて、私は何度も繰り返しそこを弄る。脳の中が痺れて、真っ白になっていく。 「あぁ・・・きもひぃいぃ・・・らめぇ・・・いぃいのぉ・・・」 うまく言葉も出ない。 頭の中に再び声が響く。 『ほら気持ちいいだろう・・・もっともっと感じる・・・』 乳首を弄んでいた左手を口に含んでみる。 男の人のアレを咥え込んだところを想像しながら。 「はぅん・・・はむぅ・・・んふぅ・・・」 右手がパンティの中に侵入し、蜜壷を掻き回す。クチュクチュとエッチな音が聞こえてきて、それが私をさらに高めていく。 そこにも男性の、桐山先生のモノを挿入されていることを妄想する。 しかし、それは妄想というにはあまりにリアルだった。 トロトロと溢れ出した愛液が、パンティとスカートを汚していく。 「はぁはぁ・・・あぅん・・・ひぃゃあぁぁ・・・!」 もう上も下も右も左も分からない。 ただ気持ちいい。 私は快感に溺れていく。 「ふぁぁん・・・いいのぉ・・・もっとしてぇ・・・」 見えない誰かに懇願する。 右手の動きが早くなり、口内を犯す左手は唾液にまみれていく。 体が震え、目の前が真っ白になる。 「ふぁ・・・らめぇぇ・・・!くるぅ・・!」 膣の中に熱い感覚が溢れている。 唾液で濡れた左手で、再び乳首を捏ねるように弄ぶ。 「やぁあぁぁ・・・・・・おかしくぅぅ・・・・・・なっちゃうよぉおぉぉ・・・・・・!」 指は動くことを止めず、それどころかより激しく私を犯す。 もう何も分からない。 何も考えられない。 頭に浮かぶのは・・・・・・きりやませんせぇ・・・・・・ わたしの・・・・・・ごしゅじんさま・・・・・・ 「わたしぃいぃぃ・・・・・・イクぅうぅぅ・・・!イっちゃうぅぅ・・・・・・!ごしゅじんさまぁぁ・・・・・・!」 淫らな妄想で溢れている私の頭の中に、強烈な閃光が煌く。 その瞬間、私の時間は止まる。 「・・・・・・くぅぅうぅぅぅ・・・!」 体を震わせ、止まっていた時間が動き出す。 全ての緊張の解けた私の体は、ゆっくりとベッドに倒れこんでいった。 ケータイが鳴る。この番号に見覚えは無かった。 「もしもし?」 「・・・あすかです・・・」 山村あすか? なんで僕の番号を・・・? そう思った瞬間。 意識が途切れる。 「・・・オレだ・・・いいつけ通りにしたのか?」 「・・・はい・・・ご主人様の・・・命令のままに・・・」 電話越しでも微かに呼吸の乱れが分かる。 昨日の塾で仕込んだ命令通りに自慰をしたようだ。 ふははは・・・! あすか・・・いい堕ちっぷりだ・・・! 「そうか・・・ではあと3回イってから眠れ・・・」 「・・・はい・・・わかりました・・・」 「オレに電話したことは忘れろ。履歴も消せ」 「はい・・・ご主人様・・・」 「じゃあな」 オレは電話を切る。 くくく・・・そうやって快感に支配されていけ。 そして快感のためならなんでもする奴隷になるがいい。 まったくオンナを堕とすのは楽しくてしょうがないぜ。 なぁ・・・大介・・・オマエも・・・そう思うだろう・・・?
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