ことしのノーベル平和賞で中国の民主化運動の象徴とされる作家が受賞する可能性が取りざたされていることをめぐって、賞の選考にかかわるノルウェーの関係者が、中国政府の高官から受賞すれば両国の関係に悪い影響を与えかねないという圧力とも受け取れる警告を受けていたことがわかりました。
これはAP通信などが28日、ノーベル平和賞の選考にかかわるノルウェーのノーベル研究所のルンデスタッド所長の話として伝えたものです。それによりますと、ルンデスタッド所長がことし6月、ノルウェーを訪れた中国の傳瑩外務次官と面会した際、中国の民主活動家で作家の劉暁波氏が来月発表されるノーベル平和賞を受賞する可能性が取りざたされていることについて、傳外務次官から「受賞することになれば、両国の関係に否定的な影響を与えかねない」と警告を受けたということです。ルンデスタッド所長は、選考に当たるノーベル賞委員会は独立した組織であり、こうした中国政府の圧力には一切影響されないとしています。劉暁波氏はおととし、中国の民主化を訴える文書をインターネット上に発表し、国家の転覆をあおった罪で有罪判決を受けて現在、服役しています。中国外務省の姜瑜報道官は、28日の記者会見で「中国の法律を犯し、刑罰を科された人物であり、その行為はノーベル平和賞の趣旨に反するものだ」と述べ、劉氏の受賞が取りざたされていることに強い不快感を示しました。