3. 柱谷幸一GM〈上〉

強く、フェアで魅力的に 独自のスタイル構築を

〔写真〕 「フェアで強くて面白いサッカーが理想」と話す柱谷GM

■ホームで勝つチームに

 現役時代、Jリーグ誕生の1992年から94年まで浦和に在籍し、初代キャプテンを務めた柱谷幸一ゼネラルマネジャー(GM)が今季、強化責任者として古巣に戻ってきた。就任から8カ月、どのようなスタイルを目指し取り組んでいるのか。

 「強い、魅力的、フェアプレー。この三つを高いレベルで達成したいというのが一番の目標。勝利を皆さんが期待して見に来るわけだから勝たないといけないし、特にホームゲームでは絶対に勝つチームにしたい。内容も攻撃的でアグレッシブで見ている人たちがワクワクするようなものにしたい。まずはレッズのスタイルをつくっていくことが大事だ」

■育成型クラブへ

 浦和の目指すスタイルは、ショートパスをつなぎ、人とボールが動いてゴールを狙うコンビネーションサッカー。GMはそれを実践できる選手をピックアップする編成のかじ取り役である。

 「下部組織から昇格した地元出身の選手が多くプレーする。それだけじゃなくて高卒、大卒の選手、あるいは移籍でピンポイントに獲得した選手が、バランス良くチームを構成するのが理想。移籍選手ばかりや、新卒の選手ばかりでも駄目で、バランスが大切だ。トップチームの3分の1がアカデミー出身者であることが育成型クラブの一つの基準ではないかと言い続けてきた」バルセロナ(スペイン)に通じるものがあるが、理想のチームなのか。

 「確かにバルセロナのスタイルはボールをキープしてポゼッション率を高めるもの。アカデミー出身の選手が多いという要素で見れば、われわれが目指すチームと同じところにいる。でも、その時々で監督や選手が変わるので一概には言えない。やはり浦和の独自のスタイルをつくることが大切だ」

■チームづくりに徹する

 現役引退後は山形、京都、当時、日本フットボールリーグ(JFL)の栃木SCの監督を歴任し、2005年に当時J2だった京都をJ1に昇格させた指導者としての顔も持ち合わせる。だが今は、あくまでチームづくりの仕事に徹する。

 「どういうチームをつくっていくかはわれわれ主導でやっていくことだが、ピッチレベルではフィンケ監督がスケジュールもトレーニング内容も選手選考もすべての権限を持っている。逆にクラブが進みたい方向に合っている監督を選んだ結果がフィンケ監督で、そこは信頼してすべて任せたい。これから長いレッズの歴史の中で、そういうスタイルを目指している人が監督になり続けていくことが大事だ」。

2010年9月18日付本紙