中国河北省で今月20日、無断で軍事管理区域に入ったとして、日本の建設会社の社員ら4人が中国の当局に拘束されていた事件で、4人のうち3人の拘束が30日午前、解かれました。
この事件は今月20日、日本の建設会社「フジタ」の社員2人と、上海にある現地法人の社員2人のあわせて4人が河北省の軍事管理区域に無断で立ち入り、軍事施設を撮影していたとして、中国の治安当局に拘束され、取り調べを受けていたものです。中国国営の新華社通信は、4人のうち3人については中国の法律に違反したことを認め、反省しているとして、30日午前、拘束が解かれたと伝えました。拘束が解かれたのは、日本の本社から出張していた▽国際事業部建設部次長の佐々木善郎さん、▽営業本部営業統括第五部次長の橋本博貴さん、それに▽上海の現地法人の社員、井口準一さんの3人です。しかし、上海の現地法人の社員、高橋定さんについては現在も拘束中で、取り調べが続いているとしています。北京の日本大使館によりますと、丹羽大使が、現地時間の30日午前9時半(日本時間の10時半)に中国外務省で胡正躍次官補と会談した際、3人を30分後に解放すると伝えられたということです。これに対し、丹羽大使は、高橋さんについても迅速な対応をあらためて求めたということです。4人の拘束をめぐっては、尖閣諸島の日本の領海内で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突し、漁船の中国人の船長が逮捕された事件への対抗措置ではないかという見方があり、中国人船長の釈放・帰国を受けて中国側の対応に変化が見られるのかどうかが焦点となっていました。社員ら4人のうち、3人が拘束を解かれたと、現地の報道が伝えたことについて、フジタは「報道は知っているが、詳しい事実関係については外務省と北京の日本大使館に連絡を取るなどして確認を進めているところだ。3人ともまだ連絡は取れていない。3人が解放されたとすれば、残る1人についても早く解放されてほしい」と話しています。前原外務大臣は、国会内で記者団に対し、「4人のうち3人が釈放されたということだが、まだ1人が釈放されていない。残りの1人も釈放されるように、しっかりと強く中国側に申し入れていきたい。また今回の事案では、何の理由で居住監視になっているのか、中国側から明確に説明されていない」と述べました。