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佐賀大事故調査 危険飲酒 慣行根強く
2010年09月30日
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会見する佛淵孝夫学長(左)と瀬口昌洋理事=佐賀大 |
なぜ、未成年の男子学生が命を失うまで大量の酒を飲まされたのか。29日に佐賀大が公表した事故調査結果からは、学生の宴会に危険な飲酒慣行が根強く残っていたことが明らかになった。(波多野陽)
大学の説明によると、3月13日のコンパはラグビー部員20人が参加。コップに酒が残っている部員らを「飲んでないね」などと周りがはやし、一気飲みが繰り返された。同大によると、部員の1人は事情聴取に対して4年生を送る宴会だったことにふれ、「先輩のために飲むという気持ちだった」と話したという。
また、コンパの三次会の飲み代を払う4年生が、その費用を減らすため、一、二次会で下級生を酔いつぶして三次会出席の人数を減らすという慣行が長年続いていたことも調査で明らかになった。
事故後、大学が学内の部活やサークル51団体に行ったアンケートでは、体育会系で3分の2、文化系では3分の1の団体が、一気飲みや飲み比べなど危険な飲酒を経験したと回答した。
アルコール薬物問題全国市民協会(ASK)の今成知美代表は「新入生歓迎や卒業コンパなどで激しい飲酒をするという発想が飲酒事故の温床になっている」と警告。「退学や停学処分など学生でも大人としての責任を取らせなければ、危険な飲酒の抑止力が働かない」とも話す。
佐賀大では、ラグビー部の事故後も7月までに2件の救急搬送が大学に報告されている。6月には、同大生が酒を飲んでバイクを運転した容疑で現行犯逮捕され、1カ月の停学処分になった。
同大は、各団体にコンパの計画を事前に大学に提出させることや顧問教員が飲み会に出席するようにする再発防止策を検討するなど、危険飲酒の防止に乗り出す。佛淵孝夫学長は「クラブ活動は教育の一環であることを考えると、大学が知らないという姿勢はとれない」と話す。
一方、県内の他の大学には、ここ数年、飲酒による学生の救急搬送は報告されていないという。だが、佐賀女子短大の担当者は「大学の目が届く範囲は限界がある。飲食店が学生証で年齢を確認するなど、地域の協力も仰ぎたいところ」と話す。
死者が出た佐賀大のコンパは「飲み放題」の居酒屋で開かれていた。同大の職員は事故後、大学周辺の飲食店を回り、過度の飲酒などに目配りを要請したという。
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