後継者問題:ジョンウン氏登場で軍事委が復活か

衰退していた軍事委員会、ジョンウン氏の登場で復活の兆し

 1966年以来44年ぶりに招集され、28日のわずか1日で閉幕した第3回朝鮮労働党代表者会で、金正日(キム・ジョンイル)総書記が三男ジョンウン氏のために準備した「秘蔵のポスト」は、党中央軍事委員会副委員長の座だった。西江大学のキム・ヨンス教授はこのポストについて、「軍事分野でのナンバー2に当たり、いつでもその気になれば軍を掌握できる、要職の中の要職だ」と説明した。

 党中央軍事委員会は、98年に金総書記が権力を掌握した後、国防委員会の急浮上によって衰退していた。軍事政策の基本や戦略立案などにはあたっていたが、日常の業務は国防委員会に移ったとの見方が支配的だった。しかし今回、党中央軍事委員会の委員長でもあった金総書記が、従来は存在していなかった副委員長のポストを新たに設け、後継者のジョンウン氏をここに据えることにより、党中央軍事委員会はかつての権威を一気に取り戻したとされている。さらに北朝鮮は29日に党規約の改正も発表し、「朝鮮人民軍内部で党組織の役割を強化する内容を付け加えた」と説明した。

 一方ジョンウン氏は、当初から就任が予想されていた政治局や秘書局には名を連ねなかった。政治局は朝鮮労働党の基本路線や重要政策の方向性を定め、その内容を傘下にある組織に伝えるという、いわば中心的な部局だ。北朝鮮ではこれを、「党のあらゆる事業を組織化し、指導する」と表現している。ただし、政治局の会議はたびたび開かれるものではないため、普段その役割を担当するのは政治局常務委員会だ。そのため、常務委員会は北朝鮮で最も力がある組織といっても過言ではない。

 韓国政府の関係者は、「今回の人事で常務委員会の陣営がしっかりとしたものになった。今後ジョンウン氏が党を掌握するようになれば、その時点で常務委員会に名前を連ねるようになるだろう」とコメントした。

 また、秘書局は政治局によって決められた内容がきちんと行われているかを指導、監督する部局だ。傘下には組織指導部、統一戦線部、国際部、計画財政部など10以上の下部組織がある。

 今回の党代表者会は、朝鮮労働党の権威とその役割を本来の形に戻したと評価されているが、その一方で国防委員会が今後、どうなるかも注目に値する。100万人以上の住民が餓死した90年代半ばの「苦難の行軍」当時、朝鮮労働党による配給の能力は事実上失われ、その権威は地に落ちた。すると金総書記は、軍を掌握することを通じて権力を維持することを決め、国防委員会の機能を強化した。韓国政府の安全保障関連部処(省庁)の当局者は、「来年の最高人民会議で国防委員会がどうなるか注目だ。今回、朝鮮労働党が本来の形を取り戻したのが事実なら、国防委員会の権威はその分、低下するのは間違いない」と述べた。

李竜洙(イ・ヨンス)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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