2010.9.8 16:25
中国商務省の陳健次官(手前)の説明を聞く日本経団連の米倉弘昌会長(左)=8日午前、北京市の中国商務省(早坂礼子撮影)【拡大】
【北京=早坂礼子】日中経済協会の訪中団は8日、中国商務省を訪問し、陳健(ちん・けん)商務次官らと意見交換を行った。席上、大橋光夫副団長(昭和電工相談役)は中国がレアアース(希土類)の輸出枠を大幅に削減したことに改めて強い懸念を表明し、改善を求めたが、陳次官は「中国政府の政策を変更することはできない」と拒絶した。
陳次官は「日本企業の懸念はよく承知しているが、中国政府もレアアースの安定供給と環境保全の両面で苦慮している」と説明。包玲(ぱお・れい)対外貿易局副局長は「中国の輸出規制は世界貿易機関(WTO)のルールに基づいた合法的なものだ。代替品の開発をしてはどうか」などと語った。
中国からのレアアースの輸出枠は7月から前年比で約4割削減され、8月末の「日中ハイレベル経済対話」でも見直しが議題になったが、中国側が拒否していた。日本の経済界は「今後もあらゆる手段やルートで改善を訴える」(大橋副団長)方針だが、日本企業は調達先の見直しといった対応を迫られそうだ。
中国商務省との会談では、日中韓のFTA締結に向けた準備の進捗(しんちょく)状況や、労働争議や人民元など日中間のビジネス環境整備についても意見を交換。日中間のエネルギー協力推進をうたった「第7次日中長期貿易取り決め」も締結した。