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【大リーグ】松井、怒りの代打で同点打 ソーシア監督のキツイ冗談に発奮2010年9月29日 紙面から
【アナハイム阿部太郎】ナメんなよ! エンゼルスの松井秀喜外野手(36)は27日(日本時間28日)、アスレチックス戦の7回に代打で登場。中前に同点タイムリーを放ち昨季の安打数125本を上回った。試合前にはア軍の岩村明憲内野手(31)と談笑し「お互いボロボロのヒザで頑張ろうね」と自虐ギャグで健闘を誓い合ったのもつかの間…。ソーシア監督から「マツイが(先発で)出ない? 日本に戻ったよ」とキツ〜イ冗談をお見舞いされたが、持ち前の勝負強さを披露する意地のひと振りだった。なお、岩村は出場しなかった。 記録的猛暑(最高気温41度)となった日の試合前、打撃ケージ近くにいた松井の元に岩村が静かに歩み寄る。今季初顔合わせとなった2人の対戦。ガッチリ握手を交わすと、途切れ途切れではあったが、時間にして10分ほど笑顔を交えながらの談笑だ。 「お互いボロボロのひざで頑張ろうねといってたんだよ(笑)」。松井はこう言っておどけて見せた。両ひざに爆弾を抱える松井に対し、岩村も昨季、試合中に左ひざ前十字靱帯(じんたい)部分断裂という重傷を負った。いわゆる“痛み”が分かる者同士。2人ともに来季の去就は不透明だが、持病のひざにめげず頑張ろうと健闘を誓いあった。 その談笑後、試合で松井が存在感を見せつけた。1点を追う7回2死一、二塁の場面で代打で登場。大歓声で迎えられ打席に入った松井は初顔合わせのジェームズの外寄り低めの速球を、詰まりながらも中前へ同点適時打を放った。まさに怒りの一打。 試合前にはソーシア監督から「マツイが(先発で)出ない? 日本に戻ったよ」とキツ〜イ冗談を浴びせられていたからだ。前日も代打を送られるなど、まさにうっぷん晴らしの同点タイムリー。この安打で昨季の安打数を上回る、126安打目を記録するとともに今季の打点も81に伸ばし、2死からの打点はチームトップタイの33打点目だ。 そんな松井の一撃に敬意を払ったのか、ソーシア監督は29日も相手先発が左腕にもかかわらず松井の先発起用を明言。真意は定かではないが、松井自身の試合に臨む気持ちだけは一度もブレたことはない。「試合が始まってしまえば、消化試合も何も勝つためにやるだけ」。残り6試合。背番号「55」がチームのため、己のため、全力で勝利をもぎ取りにいく。
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