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【プロ野球】

G終わらない 虎狩り2位浮上

2010年9月29日 紙面から

阪神−巨人 ヒーローに選ばれ、ファンの声援に応える長野=甲子園球場で(由木直子撮影)

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◆巨人7−5阪神

 カクテル光線がまぶしい。G党の歓声が心地良い。徳俵に足の乗った巨人に“甲子園男”が戻ってきた。1軍復帰したルーキー長野が即スタメンで大暴れ。阪神戦を得意とする“虎狩り隊長”はいきなりの3打席連続安打で起爆剤となり、瀕死(ひんし)の王者を延命させた。

 「やるしかない。それだけだった」。不振で初めて2軍落ちを味わってから11日。長野が胸のモヤモヤを一気に吐き出した。まずは初回。1点を先制した後の2死満塁で左前適時打。「何とか食らい付いていけた」という自らの“復帰祝い”で波に乗ると、さらに2打席連続安打でセ新人単独2位となる13度目の猛打賞。虎党粉砕の立役者になった。

 負ければ4連覇が消える。待ったなしの状況で呼び戻された長野に課せられた使命は虎退治だ。この日の4打数3安打を含め、今季阪神戦では74打数32安打。4本塁打と13打点は全カードを通じて自己最多で、特に甲子園では41打数21安打の打率5割1分2厘と抜群の強さを見せている。

 虎キラーを生んだのは何げないひと言だった。4月の甲子園。2戦無安打で終わると、緒方外野守備走塁コーチが「捕手と勝負しすぎだろ」と横でつぶやいた。頭から城島の存在を消した。「投手に集中したら、安打が1本出て、その後には本塁打を打てた」

 新人王当確の結果を残しながら2軍降格の屈辱を味わった。それでも、「順調に行きすぎてもダメだと思う」と自分を見つめ直した。ショック療法でルーキーの再生に成功した原監督は「2軍での経験を糧にして、すごく良い時間を過ごしてくれた」と目を細めた。

 まずは1勝。それでも“絶対不利”の状況は変わらない。「(残り)5試合、全部勝つつもりで頑張ります」。奇跡への使者は決意の言葉でヒーローインタビューを締めた。まだ終わらない。29日も虎党を黙らせる。竜に重圧をかける。 (井上学)

 

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