ボクシングのWBC世界バンタム級前王者の長谷川穂積(29)=真正=と、WBC世界フェザー級前王者の粟生隆寛(26)=帝拳=が、11月26日に名古屋市ガイシプラザで、ダブル世界戦を行うことが27日、名古屋市内で発表された。WBCフェザー級2位で、名古屋では自身初の試合となる長谷川は、同級1位ファン・カルロス・ブルゴス(22)=メキシコ=との王座決定戦に臨み、WBC・Sフェザー級2位の粟生は、同級王者ビタリ・タイベルト(28)=ドイツ=に挑戦。名古屋でのダブル世界戦は初めてで、日本選手が同じ日に2階級制覇に挑むのも日本初となる。
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長谷川の再起戦の舞台は地元神戸ではなく、過去に世界戦を6度戦った東京でもなく、縁もゆかりもない名古屋に決定した。真正ジムの山下会長は「(ジムの場所が)粟生が東京で長谷川が神戸。真ん中だから」と理由を説明。プロ32戦目で、初めて名古屋のリングに立つ。
名古屋で世界戦が行われるのは、2005年に石原英康(松田)がWBA世界Sフライ級王座に挑戦して以来5年ぶり。ダブル世界戦の開催は初めてだ。長谷川は「名古屋ではないけど、岐阜で東洋太平洋の初防衛戦をやって勝った。自分の中ではいい印象がある」と“新天地”での試合に胸を躍らせた。
会場となる名古屋市ガイシプラザは約1万人を収容し、ボクシング会場としては日本でも有数のキャパシティを誇る。1994年のWBC世界バンタム級王座統一戦では、辰吉丈一郎と薬師寺保栄が拳を交えた“伝説の舞台”でもある。「長谷川穂積の第2章を自分で作りたい」と意気込むだけに、うってつけの場所といえる。
再起戦がいきなりの世界戦で、しかも2階級上へ“飛び級”。「ぶっつけ本番だし、どうなるかは自分でも分からない。過去31戦よりも厳しい試合になるだろうし、不安はある」と話しながらも、「不安があるから楽しみ。初心に戻った気持ち」と目を輝かせた。
「簡単に2つ上げて勝てるほど甘くないことは分かっている。それでも必ず世界王者になる。王者になることしか考えていない」。約5年間守り抜いた王座を失ったが、「王者として年を越せれば結局一緒でしょ?」と必勝を宣言した。