【コラム】韓国が目指すべき「先進国」とは(上)

 李明博(イ・ミョンバク)大統領が任期の中間点を折り返したことから、政治談義が盛んになってきている。政権後期に入った政府は国民の気持ちを逃すまいと、出馬するかどうかをてんびんにかけている将来の与野党大統領選挙候補者たちは国民の気持ちをつかもうと、魅力的な政治スローガンやアウトライン作成に忙しい。米国産牛肉輸入・世宗市問題・4大河川事業・海軍哨戒艦「天安」沈没事件といった具体的な懸案をめぐり論戦を繰り広げてきた政治家たちは、今や抽象的な概念や理念で駆け引きする政治哲学者に変わろうとしている。

 後期に入った李政権が取り上げた政治談義のキーワードは「公正」だ。李大統領が光復節(日本の植民地支配からの解放を記念する日、8月15日)のあいさつで「公正な社会の具現」を今後の国政の中核目標に掲げると、与党・政府・大統領府の主要人物は先を争うように「公正とは何か」に関する解釈・解説に没頭し始めた。「大統領が提案した『公正な競争』『公正な共同体』が空念仏に終わらないよう、間もなく具体的な政策が提示されるだろう」という声もあちこちから聞こえてくる。

 将来の大統領候補たちが言及する政治談義キーワードの中でも、ひときわ目立っているのが「福祉」だ。伝統的に福祉と分配を強調してきた進歩系左派の野党候補らが「我こそは」と「正義の福祉国家」「躍動的な福祉国家」を政治ビジョンとして主張しているのはもちろん、保守系右派ハンナラ党の先頭ランナー、朴槿恵(パク・クンヘ)元代表も昨年から早々に「全国民が幸せな福祉国家」を政権構想として掲げている。政界を取り囲むシンクタンクや政策研究集団もこのところ、福祉の勉強に熱心だ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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