2010年9月30日3時33分
そのケイマンが情報提供に応じた背景には国際社会の圧力がある。経済協力開発機構(OECD)が租税回避地の国や地域に情報開示を求め、応じなければブラックリストに載せて公表すると突きつけた結果、ケイマンは、外国の税務当局から要請があれば情報提供できるようにした法律を制定。昨年3月に日本は英、独などとともに情報提供の対象国に選ばれた。
日本からは所得税、法人税などに関係する情報提供の要請が可能となり、国税庁は今年5月、ケイマンの投資ファンドや特別目的会社の所有者や事業実態、金融取引などの情報を求めた。これらの取引には、日本での課税を逃れた資金が含まれている疑いが持たれている。今回はそれを受け、ケイマン税務当局が、複数のファンドなどに関する情報を回答してきたという。
日本はケイマン以外にも、租税回避地のスイスや香港など9カ国・地域と情報交換条約や協定の締結を進めており、租税回避地に対する包囲網の構築を急いでいる。(舟橋宏太、木原貴之)