気持ちを整理しているかのようだった。原監督は試合後、三塁ベンチからゆっくりと歩を進めた。セ・リーグ4連覇が消滅。会見スペースで立ち止まると、あらゆる感情を押し殺すように、静かに口を開いた。
「悔しいですね。ジャイアンツは4連覇が目標にあって、誇りと緊張の中で全力で戦いましたが、こういう結果になったのは悔しいです」
さまざまな思いがこみ上げる中、もっとも強かったのが「悔しさ」だった。試合前、若手の坂本や長野(ちょうの)らにハッパをかけて臨んだ伝統の一戦。終わってみれば、今季を象徴するような試合だった。
昨季15勝2敗で優勝の原動力となった先発ゴンザレスは制球が甘く、三回途中3失点で降板。四回から東野、七回から朝井と先発要員もつぎ込み必死の継投で失点を防いだが、12球団断トツの220本塁打を記録する打線が能見、久保田、藤川をとらえきれなかった。
原監督は最近、「今季は同じ投手に同じような形でやられるケースが多い」とこぼしたが、まさに能見はその一人。四回無死一、三塁、五回一死一、二塁と好機を作りながら“あと1本”が出ず昨年7月から7連敗となってレギュラーシーズンでの対戦を終えた。
「この悔しさを持ち続け、全力で戦う。まだまだどっぷり勝負の世界につかって戦っていく」
まだ日本シリーズ連覇の夢は残る。クライマックスシリーズを本拠地・東京ドームで戦うためには2位を確保しなければならない。「悔しさ」をエネルギーに変えて、残り4試合、そしてその先を全力で戦い抜く。(阿見俊輔)