2010年9月29日21時2分
中国人観光客が乗るバスの前に並び、警備する警察官ら=29日午後4時47分、福岡市役所前、金川雄策撮影
29日午後4時ごろ、福岡市中央区の福岡市役所前の路上で、中国人観光客らを乗せた観光バスの周辺に右翼団体の街宣車十数台が集まり、約20分間にわたりバスが足止めされる騒ぎがあった。街宣車から降りた十数人の男らが、バスをけったり、たたいたりして、「降りてこい」などと叫んだという。警察官が現場にかけつけ、バスは無事出発し、けが人はなかった。
市などによると、現場には福岡市中心部で買い物などをした外国人観光客が集合し、バスに分乗してクルーズ船の待つ博多港に帰るところだった。ツアーには約1300人が参加しており、大半が中国人客だったという。
街宣車はバスの進行を防ぐ形で次々と停車し、拡声機で「尖閣諸島は日本の領土だ」などと叫んだ。さらに、男たちがバスに近づき、罵声(ばせい)を浴びせるなどしたという。
福岡県警によると、この日は1972年に日中が国交正常化した日にあたり、九州各県の約50の右翼団体から約160人、街宣車約60台が中国総領事館がある福岡市内に集結。尖閣諸島の衝突事件に対する中国の対応を批判していたという。一部が市役所前を通過した際、中国人観光客とトラブルになったという。
友人3人と初めて日本を訪れた上海工程技術大の周晨さん(22)は、街宣車を横目で見ながら、「私たちは単なる旅行者。悪意は何もない」と困惑した様子だった。