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【第22回】民主党代表戦はおかしかったが、検察・改ざん事件はお見事だった朝日新聞 - 柴田鉄治

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 今回の代表選に限らず、メディアは最近の政治報道に世論調査をやたらと乱用しているように思わないだろうか。とくに、世論調査の方法がRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式という電話調査に変わってから、費用も手間も少なくて簡単にできるため、そうなってきた。

 世論調査にはもともと誤差もあれば、設問のしかたをちょっと工夫することで結果を変えることも可能なのだ。世論調査についてはいずれ詳しく論ずることにして、今回は「国民は世論調査の結果に振り回されるな」とだけ指摘しておくことにする。

 ところで、朝日新聞の代表選報道はおかしかったが、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件のスクープは見事だった。郵便不正事件をめぐって厚生労働省の村木局長が逮捕された事件は、一審の公判中から捜査のおかしさが指摘され、予想通り無罪の判決が出たが、まさか主任検事が証拠品のフロッピー・ディスクの改ざんまでしているとは驚いた。

 まさに前代未聞、検察の権威も信頼感も地に落ちる事件だが、朝日新聞の報道があったその日のうちに最高検察庁が主任検事を証拠隠滅で逮捕するという、すばやい対応にも驚かされた。

 久しぶりの新聞のスクープらしいスクープで、このところメディアへの信頼感が地に落ちていただけに、これで少しは信頼感と期待感が戻ってくるのではないか、と明るい気持ちになった。

 これからの焦点は、組織ぐるみであったのかどうかという点だが、この事件で私が最も関心を持っているところは「組織と個人」の関係である。検察庁の中で、主任検事が「FDをいじった」と語ったのを聞いた同僚検事が「表に出すべきだ」と主張したと伝えられているが、内部にそういう人がいたということは組織にとって貴重である。

 NHKの幹部が政治家に言われて番組を改変させ、それを内部告発した人を退職に追い込んでしまった事件があったが、メディアにとっても「組織と個人」はいま最も重要な課題になっている。

 朝日新聞のスクープの経緯と検察庁のこれからの対応を重大な関心を持って注目していきたい。もう一つ、尖閣諸島をめぐる日中の衝突事件については、もう少し推移を見極めてから、詳しく論じることにしたい。
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憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。毎週水曜日更新。

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