県は28日、県立医大(橿原市)に「地域医療学講座」を来月1日に設置すると発表した。救急患者のうち、重症度の高い5疾患の患者数などを地域ごとに把握。公立病院側の受け入れ能力を勘案したうえで、同大学出身の医師を再配置する。県によると、全国で初めての試みという。
県内では、重症の救急患者のうち、4回以上の照会で受け入れ病院が決まったのは、11・8%(09年)と全国最下位だった。
こうした状況を解消するため、新講座では、重症度の高い脳卒中▽急性冠症候群・心筋こうそく▽重症外傷▽急性腹症▽周産期疾患の5疾患を研究対象とし、患者数、重症度、病気の段階などを把握して需要を分析。受け入れる公立病院側の医師数、医師の経験年数、技術水準などを評価する。需給関係を比較して適正な医師数を割り出し、来年度にも設立する「地域医療総合支援センター(仮称)」を通じて医師の再配置を進める。
また、出産や育児などで医療現場を離れた産科・小児科の女性医師の復職を支援する。県立医大病院(橿原市)や県立奈良病院(奈良市)など10病院で、個別の研修制度を設ける。問い合わせは県医師・看護師確保対策室(0742・27・8644)。【阿部亮介】
毎日新聞 2010年9月29日 地方版