ホッとニュース 【9月29日03時08分更新】

中国頼み、焦る輪島 漆の9割超を輸入

中国から送られた荒味漆のサンプル=輪島市釜屋谷町の輪島漆器商工業協同組合精漆工場
 沖縄・尖閣諸島周辺で起きた中国漁船衝突事件を受け、原料となる漆の9割超を中国産 に頼る輪島漆器商工業協同組合関係者が、焦りを募らせている。組合は来月から中国産漆 の買い付けに入るが、輸入仲介業者は「例年通り仕入れられるか分からない」と確約を保 留。摩擦が長期化する様相を見せる中、漆器業者は中国側が漆にも経済制裁カードをちら つかせるのか、出方を読み切れないでいる。

 輪島市内で漆器を製造販売する約140業者でつくる組合は毎年、中国で漆の採取量が まとまるこの時期、陝西省、四川省産を中心に、不純物を取り除くろ過前の「荒味(あら み)漆」を仕入れている。

 組合事務局によると、買い付けには国内と上海の仲介業者の2ルートがある。漆はレア アース(希土類)のように「戦略物資」として扱われるとは考えにくいが、組合は衝突事 件後の中国側の強硬姿勢を不安視し、例年通り仕入れできるかどうか業者に問い合わせた ところ、回答は「分からない」だった。

 組合で購入する漆の95%が中国産と「依存体質」(市内業者)になっているのは、近 年の円高も手伝い、仕入れ値が国内産の1、2割程度と割安なため。国内産の漆と比べて 粘着性が強く、「漆器の強度を高める下地塗りにうってつけ」(同)という利点もある。

 昨年は中国から約1・4トンを仕入れており、今年も同程度の買い付けを計画していた 。市内業者からは「高値を吹っ掛けられたり、通関段階で理不尽な対応をされないか」と 危ぐする声も上がる。

 30年来、中国で漆を買い付けている関西の仲介業男性(60)は、朝令暮改で、かつ 猶予期間が与えられないチャイナリスクを指摘し、「突然、輸出の梱(こん)包(ぽう) 仕様が変更され、漆に森林税が課せられたりと、何でもありの国だ」と、これまでに遭遇 した事例を挙げる。

 日中国交正常化前の昭和30年代半ば、長崎市内のデパートで催された中国展会場で中 国国旗が引き下ろされるという「長崎国旗事件」で日中の貿易が全面禁止となった際、中 国産漆の入手が困難だった時期もある。

 ただ、男性は長年、中国側業者と信頼を築いてきたことにも触れ「民間レベルの経済交 流まで妨げられないだろう」と力を込めた。


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