後継者問題:中国、北の政治・経済安定に高い関心

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男ジョンウン氏が後継者として公式に浮上したことで、今年8月に金総書記が突然訪中した主な理由が、結局は後継問題だったとの見方が有力になっている。今回の朝鮮労働党代表者会で後継を公式化するのに先立ち、権力継承後を見据え、中国の最高指導部にジョンウン氏を紹介するための訪問だったとの見方だ。

 今年5月の訪中以降、わずか3カ月で再び中国を訪問した金総書記は、故・金日成(キム・イルソン)主席にゆかりのある中国東北地方を「巡礼」した際、息子のジョンウン氏も同行したとの憶測を呼んだ。中朝首脳会談でも、金総書記と中国の胡錦濤国家主席は、「複雑な国際情勢の中で、朝中親善のバトンを後代に手渡すことが、われわれの歴史的使命」(金総書記)、「朝鮮労働党代表者会が成果を収めることを願っている」(胡主席)とやりとりし、後継体制に関する話し合いがなされたとの分析が挙がった。

 中国外務省は今月7日、北朝鮮の権力世襲について、「完全に北朝鮮内部の話。中国は他国の内政に干渉しないという、一貫した原則を貫いている」と異例の公式発表を行っている。

 中国の専門家らは、北朝鮮の後継世襲問題について、中国が現実として受け入れる方針をすでに固めたものとみている。「中国が直接乗り出して指示することでも、反対することでもない」というわけだ。それよりも、北朝鮮が後継世襲の過程で経済改革や開放を実施し、政治・経済的な安定を実現することに高い関心を寄せている、というのが専門家らの分析だ。

 北京大の北朝鮮専門家は、「ジョンウン氏が大将になり、後継者として公式デビューしたが、年齢的にも若く経験が不足しているだけに、党を完全に掌握するまでにはかなりの時間が必要だろう。北朝鮮がこの期間に、経済改革と開放を通じ安定した世襲環境を構築することが、長期的にも中国の利益にかなうといえる」と語った。

 新華社通信や中国中央テレビ(CCTV)など中国国営メディアは同日、ジョンウン氏が後継者として公式に浮上した事実を速報で伝えるなど、労働党代表者会に大きな関心を示した。しかし、客観的な事実を報じただけで、論評などは伝えなかった。中国の専門家らも、コメントには慎重だった。中国外務省の姜瑜報道官も同日の定例記者発表で、「北朝鮮のキム・ジョンウン氏が大将に任命されたことについてどう評価するか」との質問に対し、「北朝鮮内部のこと」と述べるにとどめた。

 一方、香港のテレビ局「鳳凰衛視(フェニックステレビ)」の評論家・杜平氏は、この日出演した対談番組で、「北朝鮮の権力の安定的な継承が、北朝鮮の発展に役立つだろう」と述べた。

北京=崔有植(チェ・ユシク)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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