後継者問題:「北に姿勢の変化があるか分からない」

カート・キャンベル米国務省次官補が語る

 北朝鮮の「三代世襲の公式化」が報じられた28日(米国東部時間では27日)、国連総会に出席していたカート・キャンベル米国務省次官補(東アジア・太平洋担当)は、ブリーフィングで出た、金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男ジョンウン氏への大将の階級付与をめぐる質問に対し、「われわれは、北朝鮮内部での状況展開を慎重に注視している。北朝鮮で繰り広げられている事柄の意味を評価するため、アジア・太平洋地域のあらゆるパートナーと接触する」と語った。しかしキャンベル次官補は、北朝鮮の権力承継がなされた場合、6カ国協議再開などの変化が予想されるかという質問に対しては、「率直に言って分からない」と答えた。

 オバマ政権は、正確な状況の把握には時間が必要だという立場だが、北朝鮮が姜錫柱(カン・ソクジュ)第1外務次官を副首相に任命するなど、対米外交関係者を昇進させたのに続き、ジョンウン氏による後継を公式化した後、「平和攻勢」に出る可能性があると見ている。ジョンウン氏にすんなり権力が承継されるため、米国をはじめとする対外関係は安定していることが望ましいというわけだ。当面、非核化再開の可能性をちらつかせ、6カ国協議再開の主張を強化することもあり得る。

 しかし米国は、韓国海軍の哨戒艦「天安」沈没事件の解決を含む南北関係の進展が、6カ国協議再開の前提条件だという立場を、しばらくは崩さない。6カ国協議の議長国を務める中国は、武大偉・韓半島(朝鮮半島)事務特別代表をワシントンに送り、協議の速やかな再開を促したが、米国は「南北対話」をまず再開すべきだという逆提案を行った。ワシントンの外交消息筋は、「北朝鮮が、天安事件について姿勢を変化させるか、核開発計画の放棄を約束しない限り、米国の立場の変化は困難」と語った。

 オバマ政権が、ジョンウン氏への権力承継に関係なく北朝鮮に対し圧力をかけ続ける、という分析も出ている。ヒラリー・クリントン国務長官は今月8日、外交問題評議会(CFR)での招請演説で、金総書記の後継者問題に関する質問を受けた際、「北朝鮮の指導者が誰になろうと、非核化が北朝鮮の未来にとってより良いものだという点を確信させることが重要で、それが米国の目標」と強調した。米国の韓半島関連部局内には、金総書記ファミリーが権力の三代世襲を行うことの問題点を積極的に浮き彫りにすることが望ましい、という意見もある。

 米国は、44年ぶりに開かれた労働党代表者会やジョンウン氏の後継公式化が北東アジア情勢の変化をもたらす可能性についても注視している。特に、今年8月の金総書記の訪中を契機として、三代世襲体制を黙認することとした中国が、北東アジアの「安定」を名目に中朝関係を強化し、主導権を握ろうとする可能性を警戒している。

ワシントン=李河遠(イ・ハウォン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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