後継者問題:人民軍最高実力者に李英鎬氏

砲射撃の専門家として武力使用を総括

李英鎬・総参謀長
 「キム・ジョンウン時代」の北朝鮮軍の実力者として、李英鎬(リ・ヨンホ)総参謀長(韓国の参謀総長に相当)が浮上した。北朝鮮の最高権力機関である国防委員会は28日、「人民軍総参謀長の李英鎬大将を、次帥に昇進発令する」と発表した。李英鎬氏は60代で、北朝鮮軍の次帥約10人のうち最も若い。昨年2月に平壌防御司令官から総参謀長に抜てきされ、大将(星四つ)に昇進してから、わずか1年7カ月で次帥(大きな星一つ)に抜てきされるという、超スピード昇進を果たしたわけだ。

 政府の消息筋は、「最近、元北朝鮮軍幹部の脱北者が李英鎬氏について、『各種の砲に通じ、砲射撃に優れた指揮官』と評価した。今年1月に起きた北朝鮮の海岸砲による挑発も、各種の武力使用を総括する総参謀長の李英鎬氏が主導した可能性が高い」と述べた。特に、北朝鮮に詳しい消息筋によると、後継者として公式に登場した、金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男ジョンウン氏も、金日成(キム・イルソン)軍事総合大学で軍事学を学んだ際、「砲射撃」について関心が高かったという。

 安全保障部署の当局者は、「金日成・金正日時代を代表していた70-80代の人物が消えゆく中、李英鎬氏が50-60代の『新軍部』の代表格に浮上したようだ」と述べた。持病のため活動ができない趙明禄(チョ・ミョンロク)総政治局長(82)に代わり、総政治局(軍を思想的に統制する組織)を率いる金正覚(キム・ジョンガク)第1副局長(64)も、「キム・ジョンウン時代」の軍の中枢を担うとみられる。この日、ジョンウン氏と共に「大将」の称号を与えられたヒョン・ヨンチョル第8軍団長(平安北道担当)=59=や、崔富日(チェ・ブイル)副総参謀長も注目される。国防研究院安保戦略研究センターのペク・スンジュ所長は、「50代後半と推定されるチョン・テグン総政治局宣伝部局長(中将)や、キム・ヒョンリョン第2軍団長(上将)も、キム・ジョンウン時代に重要な役割を担うだろう」と語った。

 北朝鮮は同日、リュ・ギョン国家安全保衛部副部長を上将(韓国の中将に相当)に、ロ・フンセ氏、リ・ドゥジョン氏ら6人を中将(同、少将)に、チョ・ギョンジュン氏ら27人を少将(同、准将)に、それぞれ昇進させた。金総書記はこの日の昇進人事を断行した後、「(昇進者たちが)白頭で開拓された主体革命の偉業を、総代で最後まで完遂する使命を成し遂げると固く信じている」と述べた。

アン・ヨンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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