後継者問題:ジョンウン氏「人民軍大将」任命のワケ

ジョンウン氏や金敬姫氏など、軍での経歴全くなし

「北朝鮮指導部に加わるには軍事称号が欠かせない」

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が27日、朝鮮人民軍最高司令官名義で、三男ジョンウン氏や妹の敬姫(ギョンヒ)氏など、軍での経歴が全くない4人の人物に対し、人民軍大将の軍事称号(階級)を付与したことと関連し、北朝鮮に詳しい消息筋は、「軍事的な意味ではなく、政治的な意味での大将」と説明した。

 西江大のキム・ヨンス教授は、「北朝鮮は先軍政治を掲げているだけに、軍事称号がなければ指導者の座に上ることはできない。軍隊経験がない人物を大将にするのは、これらの人物を次世代の指導部に含めるための政治的考慮の結果」と語った。統一部の当局者も、「これらの人物を党中央軍事委員会や国防委員会のメンバーに起用する前に断行した政治的行為」と語った。

 とはいえ、大将が最高の階級となっている韓国とは異なり、北朝鮮では大将の上に次帥、さらにその上に元帥の階級がある。元帥は二人おり、金総書記が共和国元帥、李乙雪(リ・ウルソル)護衛司令官が人民軍元帥だ。次帥は、この日昇進した李英浩(リ・ヨンホ)人民軍宋参謀長をはじめ、趙明禄(チョ・ミョンロク)人民軍総政治局長、金永春(キム・ヨンチュン)人民武力部長などおよそ10人。また、大元帥という階級もあるが、金日成(キム・イルソン)主席の死後、この階級に上った人物はいない。

 これをめぐり、一部からは「ジョンウン氏が本当に金総書記の後継者なら、大将でよいのか」という疑問も提起された。これについてキム教授は、「政治的な考慮で大将になった人たちは、実際に軍を指揮するわけではないため、階級そのものは特に意味を持たない」と語った。また、安全保障部局の当局者は、「金敬姫氏やチェ・リョンへ氏は大将の階級にとどまるが、ジョンウン氏には昇進の余地がある」と語った。元高官の脱北者チェ氏も、「すべてが金総書記の思いのままの北朝鮮で、ジョンウン氏を次帥または元帥にするのは簡単。ただし、まだ20代のジョンウン氏を後継者にするのはやや負担がある上、次帥や元帥の階級にまで就いた場合に当面するであろう、内外の非難を意識したようだ」と語った。

 実際、金総書記が息子に自分と互角の階級を与えるというのはしっくり来ない、という見方もある。1953年に元帥となった故・金日成主席も、92年にようやく大元帥になったことで、金総書記に元帥への昇進を許した。

李竜洙(イ・ヨンス)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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