後継者問題:北の三代世襲に対する海外の反応

「北朝鮮は共産主義国ではなく、単に貧しい君主国」

 北朝鮮で金正日(キム・ジョンイル)の三男ジョンウン氏が大将に任命されたニュースを世界のマスコミが一斉に報じ、「金総書記の世襲継承に向けたシグナル」という点では、どこも見方が一致した。AFP通信は「何もない国で、また新たな権力継承の道筋ができている」と報じた。ニューヨーク・タイムズは「ジョンウン氏の昇格は、(中略)指導者として親の立場を継承する軌道に乗ったことを示す、最初の明確かつ公式のシグナル」と解説した。一方で今回の人事について、「権力継承のスタートに過ぎず、ジョンウン氏にとっての見習い期間はこれから始まる」という論調も多かった。

 ウォールストリート・ジャーナルは「ジョンウン氏に対する軍関連の人事は、これを強く見越していた専門家の予想をも上回るペース」などと驚きをもって報じ、AFP通信は「任命までのペースの早さは、金総書記の健康が急速に悪化していることを示しているようだ。そうでなければ、自らの権力が弱まることを恐れ、息子を急いで出世させることはないはず」という専門家の見方を紹介した。ニューヨーク・タイムズは、「金総書記が息子を後継者に昇格させる作業を進めたのは、20年前の自分のケースとは非常に異なっている。父親の健康悪化により、ジョンウン氏の学習過程は短くなる可能性がある」と予想した。

 外信は、後継者の名前が初めて公式に報じられたことに注目している。ロサンゼルス・タイムズは「第2次大戦直後、金日成(キム・イルソン)主席から始まった王朝の継承者と予想される人物の実名を、北朝鮮の政権が公式に言及したのは初めてだ」「これまでは写真や略歴、さらには綴りまで国家機密のように見なされてきた」と報じた。

 「新しい指導者の今後」については悲観的な見方が多い。ニューヨーク・タイムズは「経綸を重視する保守的な儒教社会で、大衆、とくにエリート層に20代の指導者を紹介するのは簡単なことではない」と報じた。フィナンシャル・タイムズは「あの若さで、一人で指導力を発揮できるか、あるいは元老や将校グループなどの操り人形となるか、専門家の間で意見が分かれている」「一部では、ジョンウン氏が全体主義体制を維持するのに必要な同志を集めるには、手遅れかもしれないとの見方もある」と報じた。英リーズ大学のカーター研究員はフィナンシャル・タイムズへの寄稿で、三代目への権力継承について「これは共産主義国ではなく、軍国主義が強化されても極度に貧しい君主国」「金一家が権力を維持するには、中国のふところに隠れるしか方法はない」と予想した。

 ジョンウン氏の今後についての予想を差し控える見方もあるが、その理由は「後見人」として登場した、金総書記の妹・敬姫(ギョンヒ)氏への評価が下せないからだ。AP通信は大将昇進命令文の中に、金敬姫という名がキム・ジョンウンよりも先に出ている点に注目し、「ジョンウン氏の権力継承の準備が不十分な状況で金総書記が死去した場合、金敬姫氏が継承過程を監督する役割を果たすかもしれない」という専門家の見方を掲載した。CNNやBBCも、金敬姫氏について集中的に紹介した。

全炳根(チョン・ビョングン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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