後継者問題:キム・ジョンウン氏の素顔(上)

 朝鮮人民軍大将という称号を与えられ、金正日(キム・ジョンイル)総書記(68)の後継者として公式に登場した三男ジョンウン氏(27)は、幼いころから「金正日の分身」と呼ばれていた。金総書記の子供の中で、父親に最も似ていたからだ。

 金総書記の専属料理人として、13年間にわたり金ファミリーを間近で見守った藤本健二氏は今年7月、治安政策研究所のユ・ドンヨル選任研究官に対し、ジョンウン氏は顔つき、体型、性格などあらゆる面で金総書記とうり二つだという。実母の高英姫(コ・ヨンヒ)氏に似た兄の正哲(ジョンチョル)氏(29・次男)とは好対照を成す。

 藤本氏が北朝鮮を離れた2001年時点で20歳だった金正哲は、身長が174-175センチで、すらりとした体型だった。これに対し、18歳だったジョンウン氏は身長が170センチほどで、恰幅(かっぷく)がいい方だった。ジョンウン氏は現在、9年前よりは身長が伸びた可能性はあるが、体型はそのままだとされる。

 兄弟は外見だけでなく、性格も全く異なった。金総書記は正哲氏について、「あいつは性格が女の子みたいで駄目だ」としきりに話していた。さらには「正哲が怒ったのを一度も見たことはなく、野望もない。朝鮮を統治する能力はない」とも語ったとされる。

 これに対し、感情の起伏が激しいジョンウン氏は、リーダーシップと勝負意欲があり、あらゆることに積極的だ。藤本氏は、「ジョンウン氏はバスケットボールをするときでも他人とは異なっていた。試合が終わると、正哲氏は友人にあいさつをしてそのまま立ち去るが、ジョンウン氏はコーチのように友人を呼び集め、試合を分析していた」と証言する。兄とは異なり、野心に満ち、断固とした性格の持ち主との分析だ。

 ジョンウン氏は自尊心も強く、自分に対する呼称にも敏感だった。一時、金総書記の側近は、正哲、ジョンウン兄弟をそれぞれ「大きな大将同志」「小さな大将同志」と呼んでいた。10歳前後だったジョンウン氏はおばの高英淑(コ・ヨンスク、高英姫氏の妹)が自分を「小さい大将」と呼ぶのを聞き、「なぜ自分が小さい大将なのか」とただしたという。その後、ジョンウン氏に対する呼称は、「小さい」という修飾語がない「大将同志」または「金大将同志」に変わったという。数年前からは「青年大将同志」と呼ばれている。

 また、藤本氏によると、ジョンウン氏は金総書記を「お父さん」と呼んだことはなく、「パパ」と呼んでいたという。他人の前で父親の話をする場合は、「上部」という表現を使っていた。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事 記事リスト

このページのトップに戻る