後継者問題:北朝鮮、3代にわたる世襲を発表

ジョンウン氏に「人民軍大将」の称号、金総書記再任

 北朝鮮が28日、近・現代では世界的に例を見ない、まるで封建時代のような、3代にわたる権力の世襲を正式に発表した。北朝鮮メディアはこの日早朝、金正日(キム・ジョンイル)総書記(68)の三男ジョンウン氏(27)に対し、「朝鮮人民軍大将」の称号を授与した、と一斉に報じた。また、金総書記の妹の敬姫(ギョンヒ)氏(64)もこの日、北朝鮮初の「女性大将」となった。朝鮮中央放送は、「金正日同志が、金敬姫氏、ジョンウン氏、崔竜海(チェ・リョンへ)氏、玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)氏、崔富日(チェ・ブイル)氏、金慶玉(キム・ギョンオク)氏の6人に対し、大将の軍事称号を授与された」と報じた。北朝鮮の内外に向けた発表に、「キム・ジョンウン」という名前が登場したのは今回が初めてだ。

 統一部の関係者は、「金総書記がジョンウン氏と敬姫氏に対し、同時に大将の称号を与えたのは、『軍と親族』を通じ、3代にわたる世襲を実行するという意思表示だと考えられる」と語った。一方、敬姫氏の夫の張成沢(チャン・ソンテク)労働党行政部長(64)は今年6月、北朝鮮の最高権力機関である国防委員会(委員長:金総書記)の副委員長に任命された。なお、今回大将の称号を授与された6人のうち、ジョンウン氏、敬姫氏と崔竜海氏(党組織指導部第1副部長に昇任と推定)、金慶玉氏(党組織指導部第1副部長)の4人は、軍隊での経歴がない。玄永哲・第8軍団長と崔富日・副総参謀長だけが現役の軍人だ。これについて、安全保障関連省庁の関係者は、「ジョンウン氏に対し、党の役職よりも先に軍の称号を与えたり、『キム・ジョンウン時代』の中心人物となる民間人4人に大将の称号を与えたことは、『先軍政治』を維持していくという政治的な意味がある。先軍政治の旗の下に、軍部は核開発も続けていくとみられる」と語った。

 一方、北朝鮮はこの日、総参謀長の李英浩(リ・ヨンホ)大将を次帥に昇進させるなど、大将6人、上将(韓国の中将に相当)一人、中将(少将に相当)6人、少将(准将に相当)27人など計41人を昇任させる人事を発表した。

 また、44年ぶりとなる党代表者大会を開き、金総書記を党総書記に再任することを決めた。北朝鮮メディアは午後2時、「重大放送」を予告した上で、「党代表者大会は、金正日同志を朝鮮労働党総書記に高く推戴(すいたい)したことを内外に厳粛に宣言した」と報じた。金総書記は1997年10月、党総書記に初めて任命された。一方、北朝鮮の内部事情に詳しい消息筋は、「ジョンウン氏が党の組織書記に内定したと聞いている」と語った。北朝鮮で外交官だった脱北者によると、北朝鮮で「組織書記」は後継者と認識されているという。1973年に組織書記に昇任した金総書記も、1年後に後継者に決定している。南北関係に詳しい消息筋は、「今回の党代表者大会の目的が、最高指導機関の人事だっただけに、党中央委員を含む主な役職についての発表が、近日中に行われるとみられる」と語った。

アン・ヨンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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