後継者問題:封建王朝以来、世界初の三代世襲(上)

初代と二代目で62年の独裁も最長記録

家族全体の偶像化も前例なし

 北朝鮮の三代世襲は、20世紀と21世紀を合わせても世界で例のないケースで、独裁世襲に対する政治学の通説を完全にひっくり返すものだ。一般的には、二代世襲だけでも政権の基盤は揺らぎ、民主化への要求が強まる。「共和国」を名乗りながら三代世襲を行うのは、歴史的にみて北朝鮮が初めてだ。

 また、独裁政権の後継者たちは世襲に先立って政権政党や政府の中で複数の要職に就き、いわば「見習い期間」のようなものを経るのが一般的だ。外交舞台に顔を広め、国を統治する正統性もそれなりに積み上げていかなければならないからだ。ところが金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男ジョンウン氏は、このようなパターンにも属さない。北朝鮮は家族全員を偶像化し、「準王朝」ともいえるような体制を築き上げるという点に大きな特徴がある。

世襲独裁の最長記録

 過去のケースを振り返っても、権力の世襲が成功する確率は非常に低く、政治的には完全な賭博だ。テキサス大学のブラウンリー教授が2007年に執筆した論文「現代の独裁国家における権力世襲」は、1945年から2006年までの間に、一人が3年以上権力の座にあった独裁政権258のケースについて調べている。そのうち23のケースでは、権力を世襲しようとしたものの、成功したのはわずか9例だった。率にすると39%だ。つまり北朝鮮は、この統計ではほかの追従を許さない記録を打ち立てているのだ。親子二代が国を統治した期間をみても、金日成(キム・イルソン)主席と金正日総書記の二人は62年間にわたり権力の座にあり、それは今も続いている。西アフリカのトーゴとガボンも、44年間の統治記録が続いている。ちなみに年数では同じ44年だが、トーゴの方が8カ月ほど長い。シリアは39年、アゼルバイジャン17年、コンゴ民主共和国は13年目に入っている。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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