【社説】三代世襲王朝の喜劇と北朝鮮住民の悲劇(中)

 金総書記の意向を受けたこの北朝鮮憲法は、父である金日成主席を「国家の始祖」「永遠の主席」として奉るために主席の地位を廃止し、その一方で権力を国防委員会に集中させ、金総書記自らが国防委員長として国民を支配するように定めた憲法だ。過去の最高権力者を「国家の始祖」として奉る国のことを共和国とは言わない。それは王国で、国家元首の世襲を当然と見なす王朝に過ぎない。このような金総書記の意識からすれば、軍とは何の関係もなかった妹に大将の称号を与え、その夫を権力のナンバー2に据えて世襲の取り巻きにするという封建王朝の形は、何ら不都合に感じられないはずだ。今回の代表者会は、金王朝のこのような内幕を世界中に赤裸々に公開する結果となった。韓国社会における親北朝鮮勢力・追従勢力は、自分の目と耳で確認したであろうこの状況について、どのように感じているのか気になるところだ。

 北朝鮮で起こっているこの前代未聞の権力継承喜劇を目にした今、われわれは二つの課題に対する回答を提示する必要に迫られている。一つは金日成・金正日・キム・ジョンウンと三代65年にわたり続く金王朝中心の全体主義国家がいつ、どのような形で終えんを迎えるかということだ。金日成主席はソ連占領軍から与えられた権力を基盤に、銃口で政敵を容赦なく粛清した。さらに自らのパルチザン経歴を劇化し、それに権威を与えて世襲王朝の基盤を築き上げた。金日成主席はこの二つの武器でソ連派、南労党派、延安派を次々と粛清し、1970年代にはかつての同志だったパルチザン派もほぼ一掃して一人統治体制を整え、金総書記が後継者となる道筋をつけた。それでも実際に金総書記が権力を掌握するのに20年かかっている。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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