【社説】三代世襲王朝の喜劇と北朝鮮住民の悲劇(上)

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記は28日に開催された朝鮮労働党代表者会で、三男ジョンウン氏(27)に朝鮮人民軍大将の称号を与えた。また金総書記は同時に、実妹の金敬姫(キム・ギョンヒ)氏にも朝鮮人民軍大将の称号を与えた。金敬姫氏は朝鮮労働党軽工業部長で、夫の張成沢(チャン・ソンテク)氏は北朝鮮権力の軸である国防委員会副委員長と労働党行政部長を兼任している。今回の人事で北朝鮮は、金日成(キム・イルソン)主席から金正日総書記、さらにキム・ジョンウン氏へと続く三代世襲体制を公式に発表し、これを支える「血縁関係を中心とした支配」も整えようとしている。また、ジョンウン氏は党代表者会で、労働党の要職に就く可能性も高い。

 北朝鮮の憲法第1条には、「朝鮮民主主義人民共和国は人民の利益を代表する社会主義国家」と規定しており、第4条には「共和国の主権は労働者、農民、軍人、勤労インテリをはじめとする勤労人民にある」とも明記されている。しかし北朝鮮憲法の序文を見れば、この憲法の条項は金王朝の世襲を保証し、装飾するための言葉遊びに過ぎないことはすぐに分かる。序文では、「永世不滅の主体思想」を創始したとされる金日成主席を、「朝鮮の創健者であり朝鮮の始祖」と明確に規定している。さらに「朝鮮人民は首領・金日成を共和国における永遠の主席として奉り、金日成の思想と業績を擁護・固守しなければならない」と明記されている。金日成という名が17回も出てくるこの奇怪な憲法序文の趣旨は、「北朝鮮の住民は国家の意志を最終的に決める立場にあるのではなく、永遠の主席である金日成を永遠に奉る僕に過ぎない」ということだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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