政府の事業仕分けの指摘を受けた国道の維持管理費の削減に伴い、除草回数が減ったことで、県民からの歩道や中央分離帯に繁茂する草への苦情が急増している。「ウオーキング時に歩きにくい」「運転時に見えにくく危ない」などの指摘は前年同期比で4・2倍。国道を管理する沖縄総合事務局は27日、県や有識者を集めた初の防草対策検討会を開いた。
国土交通省が策定した国道の維持管理基準に基づく同局の除草計画では、本年度から、これまでの年2~3回から原則1回に減らされた。県内の国直轄管理の国道(314キロ)の除草関連費(台風後の緊急対策含む)は、前年度比6割減の約1億円と大幅減額となった。
同局によると、ことし4月から今月10日までの苦情件数は前年同期比4・2倍の110件。国道58号沿いの歩道や、国道330号の浦添市内の中央分離帯の草に対する苦情が多いという。県や市町村からも「沖縄は植物の成長が早く、全国一律の基準は適さない」など、草刈りの回数を増やすよう要望が上がっていた。
沖縄総合事務局は、内閣府や国交省に現状を報告し見直しを提案しているが、補正予算などの予定はないという。
道路防草対策検討会では「観光立県として、安全性の面からも管理が必要。外国の事例を検証すべきだ」との声や「工法などコスト面との兼ね合いもあるので、費用を掛けるめりはりが必要」「一般県民に関心と協力を持ってもらう」などの提案があった。
検討会では、雑草の繁茂を抑える植物を県内5カ所に植え、育ち方や雑草の生え方などを検証することを確認した。二つの部会で植栽と、道路の構造面の両方から対策を検討していく方針だ。