建築工事標準仕様書・同解説 JASS 5 鉄筋コンクリート工事より抜粋

 

 

17節 流動化コンクリート

 

 

 

17.1 総則

 

a. 本節は、流動化コンクリートを用いるコンクリート工事に適用する。流動化コンクリートの適用箇所は特記に夜。特記のない場合は

、工事監理者の承認を受ける。

b.  施工者は、工事開始前に材料、調合流動化の方法、コンクリートの品質管理方法などを定めて工事監理者の承認を受ける。

 

17.2 材料

 

a.  流動化剤は、JASS 5T?402(コンクリート用流動化剤品質基準)に適合するものとし、その種類は、特記による。

特記のない場合は、工事監理者の承認をうけたものを用いる。

b. コンクリートに使用する材料は、流動化によって悪影響を生じることのないように、流動化コンクリートに対する適合性を検討して

選定する。

 

17.3 調合

 

a. コンクリートの計画調合は、流動化後において所要のワーカビリティー・強度・弾性的性質・耐久性および3節に示すその他の

性能が得られるよう試し練を行って定め、工事監理者の承認を受ける。

b. 流動化コンクリートの調合強度は、ベースコンクリートの圧縮強度に基づいて定めることができる。

c.     コンクリートのスランプは、表17.1に示す値以下とし、打ち込み箇所別に特記による。特記のない場合は、表17.1の範囲で

ベースコンクリートおよび流動化コンクリートのスランプの組み合わせを定め、工事監理者の承認を受ける。

 

 

表 17.1 流動化コンクリートのスランプ

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コンクリートの種類 ベースコンクリート 流動化コンクリート

普通コンクリート 15以下(1) 21以下(1)

軽量コンクリート 18以下 21以下

[注] (1) 品質基準強度が33N/mm²以上の場合、材料分離を生じない範囲で

ベースコンクリートを18cm以下、流動化コンクリートを23cm以下とすることが

できる。

d.   ベースコンクリートの単位水量は、185?/?以下とする。

e. コンクリートの空気量は特記による。特記のない場合は、流動化コンクリートにおいて普通コンクリートでは4.5%、軽量コンクリート

では5%とする。

f. ベースコンクリートの水セメント比は、5.4による。

g. 単位セメント量は、5.6に規定する単位セメント量の最小値以上とする。

h. 流動化コンクリートの計画調合を表す場合は、ベースコンクリートと流動化コンクリートのスランプの組み合わせ、および流動化剤の

添加量を記載する。

 

17.4 製造

 

a. 流動化コンクリートの製造方式は特記による。特記のない場合は、流動化剤の添加時期、流動化のかくはん方法を定めて

工事監理者の承認を受ける。

b. レディーミクストコンクリート工場は、所要の品質の流動化コンクリートが得られる時間の限度内に、コンクリートの輸送および流動化

ができる距離にあることとし、その選定は、6.2による。

c. レディーミクストコンクリートの発注は、6.3によるほか下記(1)?(2)による。

(1) ベースコンクリートを、JIS A 5308 (レディーミクストコンクリート)により発注する場合は、JIS A 5308の3「種類」により、

指定事項を定めて発注する。

(2) レディーミクストコンクリート工場に流動化コンクリートを発注する場合は、JIS A 5308によらないコンクリートとして、コンクリートの

所要の品質を得るために必要な事項について、JIS A 5308に準じるほか、工場と協議して指定する。

d.     コンクリートの流動化は、下記(1)?(4)による。

(1) 流動化剤の添加は、工事現場またはベースコンクリートの製造場所で行い、流動化のためのかくはんは、工事現場で

行うことを原則とする。

(2) 液体の流動化剤は原液で使用する。

(3) 流動化剤はあらかじめ定めた所定量を一度に添加することを原則とする。

(4) 流動化剤は重量または容積で計量し、その計量差は、1回計量分の3%以内とする。ただし、粉体の流動化剤で

一定量が袋詰めされているものは、工事監理者の承認を受けて、袋の数で計算することができる。

 

 

17.5 運搬および打ち込み・締固め

 

a. 流動化コンクリートの運搬は、施工条件を考慮して、コンクリートの品質変化が少なく、材料分離の生じにくい方法で行う。

b. ベースコンクリートの練り混ぜから打ち込み終了までの時間の限度は、7.2によるほか、流動化からの経過時間を考慮

して定め、工事監理者の承認を受ける。

c. 流動化コンクリートの打ち込み・締固めは、7.5および7.6によるほか、先に打ち込んだコンクリートの流動性の低下を考慮

して定める。

 

17.6品質管理・検査

 

a. ベースコンクリートの品質管理および検査は、下記(1)?(3)による。

(1) ベースコンクリートをレディーミクストコンクリート工場で製造し、施工者が流動化を行う場合、施工者は13.4によって

ベースコンクリートの品質管理・検査を行う。

(2) 流動化コンクリートの製造をレディーミクストコンクリートによって行う場合、施工者は、生産者にベースコンクリートの管理を

行わせ、その結果を提出させる。

(3) ベースコンクリートの試料をトラックアジテータから採取する場合は、その方法はJIS A 5308の9.1「試料採取方法」

による。

b. 流動化後のコンクリートの品質管理・検査は、13節による。

コンクリート混和剤のJIS規格(JIS A 6204)が平成18年3月に改正され、流動化剤の規格もJIS規格の中に規定されました。

日本ゼオン社においても平成18年11月29日付の試験結果報告書を取得し(財団法人 建材試験センターによる)、JIS規格適合品として販売しております。

流動化剤のJIS規格が制定されたことによって、今まで流動化剤の規定とされていたJASS 5の規定も今後変化していく可能性がありますが、2003年度版JASS 5の流動化剤規格の一部を抜粋しておきます。

流動化剤

流動化剤とは、練り混ぜられたコンクリートに添加して、撹拌することによって、その流動性を増大させることを主たる目的とした混和材をいいます。