「東レ・パンパシフィックOP第2日」(27日、東京有明テニスの森公園)
シングルス1回戦で、世界67位のクルム伊達公子(39)=エステティックTBC=は、大会2連覇を狙った同15位のマリア・シャラポワ(23)=ロシア=を7‐5、3‐6、6‐3で下し、日本勢でただ一人2回戦に進んだ。28日で40歳になる伊達のこの大会の勝利は、優勝した1995年以来。本戦初出場の奈良くるみ(18)=大産大=は、フルセットの末、格上のヤロスラワ・シュウェドワ(カザフスタン)に敗れた。
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30代最後の日。前年覇者で元世界ランク1位のシャラポワを撃破した伊達は、ラケットを高々と掲げて、誇らしげにファンの歓声に応えた。
「課題にしているサーブが崩れなかったのが勝因。30代最後の日にベストパフォーマンスの試合ができてうれしい」と、落ち着いた口調で金星を振り返った。
勝敗を分けたのは、最終セット、2‐3で迎えた第6ゲーム。シャラポワのサービスゲームを0‐40からブレークすると、ここから一気に4ゲームを連取、勝利を手繰り寄せた。
相手のシャラポワは23歳、身長188センチ。伊達よりも16歳若く、身長も24センチ高い、現在の女子テニス界を象徴するパワーテニスの代表格の一人だ。しかし、伊達には、パワーをいなすだけの経験がある。「いろいろな試合展開を想定して臨んだ。彼女の得意の形で打たせないよう、ボールを低く返した」と、技術で相手の力を封じ込んだ。
シャラポワも「今の若手のテニスとはスタイルがだいぶ違う。ストロークは速いし、ベースラインの中で勝負する。きょうは彼女が私より勝っていた」と脱帽した。
24日に韓国オープンを終え、帰国してからの2日間はマッサージなど体のケアに専念した。「回復力が若いときとは違う。でも、そう甘い世界でないのは百も承知。練習で、とにかくボールを数多く打てばいいという年でもないし、休むことも必要」。十分な睡眠を取るなど体調管理を第一に考えている。
28日、40歳で迎える初戦の相手は、世界29位のハンチュコバ(スロバキア)。「コートに立つ時間はそれほど長くはないけど、その日の朝からできることはたくさんある。やれることをすべてやって、試合に臨みたい」。その闘志には、いささかの衰えもない。