1回、左前打を放つマリナーズのイチロー=トロピカーナ・フィールド(共同)
「レイズ2-6マリナーズ」(26日、セントピーターズバーグ)
ドスン!という鈍い音。マリナーズ・イチロー外野手(36)が一塁上で苦悶(くもん)したのは五回だ。相手投手のけん制球が右脇腹を直撃したのだ。呼吸を整えるのに時間を要し、ストレッチで状態を確認。「命に別条はないですよ」。指揮官にOKサインを出し、プレーを続行した。
笑いが起こったのはその後だ。「お前、わざとやっただろ?」。イチローのその一言が、ペーニャ一塁手のツボにはまった。「僕のあこがれの存在。そのスーパースターがあんなことを言ってきたのがおかしくって」。その笑いにつられてイチローも笑った。
三回無死一塁の守備では頭脳プレーを試みた。ドーム球場の白い屋根に打ち上がった飛球に大きく両手を広げ、見失ったことをアピールした。「あれをやるってことはフェイク(だまし)でしょ。(本当に)見えない時はしないから」。走者を勘違いして走らせて併殺にする作戦だったが、失敗。「味方のダッグアウトは引っかかったみたい」と言って笑わせた。
打っては今季66度目の複数安打。今季205安打でチームの連敗を3で止めた。
(2010年9月27日)