甲子園球場で行われた全体練習に参加した阪神・城島健司捕手(34)が27日、「終わるまで何があるか分からない。だから面白い」と逆転優勝への熱い思いをあらためて語った。26日にマジック8が点灯したが、首位・中日を2ゲーム差で追う厳しい現状は変わらない。ペナント終盤の大逆転でパ・リーグを制覇した古巣のソフトバンクから「励みになる」と、新たな勇気をもらった背番号2。まずは28日からの巨人2連戦(甲子園)を連勝し、Vに弾みを付ける。
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勇気をもらった。前夜にパ・リーグ制覇を決めたソフトバンク。05年まで在籍した古巣の劇的Vに、城島は大きく心を揺さぶられた。
「うれしいというか、知っている選手が多くいるんでね。(監督の)秋山さんとも一緒にやってたし、励みになる部分はありますね」。感涙、歓喜にむせぶ友達の姿に、自らも「頂点」への思いを新たにした。
置かれた立場も似ている。ソフトバンクは残り6試合で西武との3・5ゲーム差をひっくり返して大逆転優勝を成し遂げた。阪神も現在、首位・中日に2ゲーム差の2位。26日に優勝マジック8が点灯したが、中日が残り1試合に勝てば、残り9試合を8勝1敗でフィニッシュしなければ、勝率で上回れない。追い込まれた状況下から鷹がみせた見事な踏ん張り、反発力。それらは今、真弓阪神に求められているものでもある。
「パ・リーグを心配しているような余裕はないんですよ」
城島はこう言って笑った。古巣に続きたいと願うだけでは覇権をたぐり寄せられない。まずは3位に付ける巨人との2連戦(甲子園)。ここを勝ち切らなければ視界も開けてこない。眼下の敵をたたく。一戦必勝‐。背番号2もそれしか考えていない。
前を走る落合竜に追い付き、追い越すためにも白星をしっかりと一つ一つ、積み上げていきたい。「そんなマジック、全然意味ないやろう。やることは一緒」。真弓監督もキッパリとこう言い切った。マジック点灯で一息ついている者など1人もいない。これまで通り、全員一丸となって、目の前の試合を遮二無二、奪いにかかる。
「終わるまで野球は何があるか分からない。だから面白いんだと思う」
城島は自らに言い聞かすようにつぶやいた。アップを終えると、打撃練習を行わずにグラウンドを後にした。精神的にも、肉体的にもタフな残り9試合に備えて、あえて体を休ませた。すべては逆転Vのため‐。頂点奪取への道のりは険しく、厳しいが、屈するつもりは毛頭ない。ソフトバンクのように粘り強く戦い抜いて、必ず「奇跡」を起こす。
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