古田氏の講演会で女すりスチールに失敗

　元ヤクルト捕手古田敦也氏（４５）の講演会場で、財布を抜き取った直後に被害者に察知された５５歳の女が、窃盗の疑いで山形県米沢署に現行犯逮捕されていたことが２７日、分かった。会場は同県川西町の「川西ダリヤ園」。兵庫県川西市出身の古田氏が“川西”つながりで快諾した同園５０周年を記念する講演会でのハプニングだった。歴史のある同園だが、初めて招いた著名人イベントでの不祥事に「本当に残念」と関係者は顔をしかめた。

　窃盗事件が発生したのは、山形県川西町にある、日本で唯一のダリアのテーマパーク「川西ダリヤ園」。古田氏の講演が終了した直後、２６日午後２時３０分ごろだった。米沢市に住む３７歳の男性会社員がいすから立ち上がったときに、右のお尻から、スルリと抜ける違和感を覚えた。そこには財布を差し込んでいた。慌てて右手でさすると財布がなかった。振り返ると中年女性が自分の財布を持って立っていた。

　すぐに取り押さえ、１１０番通報し、約２０分後、駆けつけた米沢署員によって女性は窃盗の容疑で現行犯逮捕された。女は自称川西町に住む無職金子千春容疑者（５５）。男性のすぐ後ろに座っていて、男性が立ったときに財布を抜き取った疑い。財布（２万円相当）には現金約３万円とキャッシュカードなど数枚が入っていた。

　古田氏の講演会は同園５０周年記念のトークショーとして開催し、事前に４００人が観覧希望して、当日に講演会の実施を知った約２００人の計約６００人を集めていた。古田氏の出身地は兵庫県川西市。今年７月に川西市で実施された古田旗争奪少年野球大会に、川西町の選抜チームがバスで片道１１時間かけて参加。その縁で講演会が実現した。

　講演会では、地元の野球少年２人が登壇して即席の野球教室も展開されるなど終始和やかな雰囲気で、会場全体が笑い声と拍手に包まれた。講演会を主催した同町担当者は「窃盗事件が起きるなんて残念でしかたない」とため息をついた。

　［2010年9月28日9時10分　紙面から］