波切に在する神様と、地名に関係もしくは古くは在していたと思われる神様の一覧です。神名の判らない神様は推定できる神様の名前を挙げています。
わらじ祭りは古文書には「ゆやのまつり」と記され、熊野の神様たちの祭りです。
民話では、ダンダラボッチと韋夜神さましか登場しませんが、本来はこの地域に住む熊野系の神様全体の祭りでもあります。
神代七代の神様で、波切神社の主神です。社は日天八王子社。稲作などの土地を作った神様で、地上からの生命の根源とも言える神様です。
熊野速玉大社の信仰の神様です。
元は豊受大神と同一神で志摩では、八雲神社(和具、片田)、磯部神社(五知の日天八王子社)、立石神社等に祀られています。後に、ローカルな信仰で国狭槌神へと名前を変えていきます。
志摩では、同一神に、豊受大神、玉柱屋姫(伊雑宮)、市杵島姫(八雲神社)、弁財天として祀られています。
他の同一神に、弟棚機(七夕の織姫)、三穂津姫命等があり、志摩の民話はダンダラボッチの民話も含め数多くの民話の根幹を成す神様です。
御神体が稲藁で、わらじ祭りでは草鞋を御神体としています。その大きさは2メートル程度で、一尋鮫の大きさになります。
この神様の化身の一つである弟棚機は星でもあります。
この星、織女星ですが、この織女星のすぐ横にある平行四辺形を「菜切星」と呼びます。
織り姫の台所という意味です。
この菜切は波切の古名でもあります。鎌倉時代に元の襲来を恐れた鎌倉幕府からの命により、志摩から多くの海賊が九州、山陰方面に出向きました。現在でも佐世保市内にこの名を見ることが出来ます。
この神様、古くは紀元前3世紀頃のギリシャの神、アルテミスと酷似しています。アルテミスは7人のニンフ(プレアデスの乙女)を従えており、この7人は天白神に相当します。天白の白は白道の白とも受け止めることが出来ます。
神楽歌では月に関係するので月の女神であるアルテミスに従うニンフに酷似しています。しかも、海の神ポセイドンの息子、オリオンに1人取られてしまうなど、海の神、スサノオの乱行と酷似しています。更に波切神社に祀られている和歌三神も星の神で、オリオンのベルトの三つ星を意味します。天白神のもう一つの化身が北斗7星。この北斗七星のある大熊座もアルテミスの化身です。
母親のデメテルはアポロン以前の太陽神で日本で言えば天照大神に相当します。
国狭槌神の化身である豊受大神を陸の姿、豊玉姫を海の中の姿と仮定すると、見事にアルテミスと同一神となるわけです。
7人の姉の1人が欠ける話は日本とギリシャの話なので中国大陸を通さず海から渡ってきた神様と見ることが出来ます。
この神様達は米の神様でもあります。日本の米は南方から渡ってきた事が遺伝子研究から判っており、それと同時に入ってきたのかも知れません。
海のシルクロードは紀元1世紀にはギリシャと日本を繋いでおり、その途中のエジプトでもよく似た神話が存在します。それらの民話が日本に直接もたらされていても不思議ではないわけです。
安乗の注連縄きり 素戔嗚尊の八岐大蛇退治
わらじ曳き 八束水臣津神の国曳き神話
伊雑宮の御田・わらじ流し・市杵島姫の里帰り
− 何れも豊受大神の信仰で豊受けの大神が織女星(玉柱屋姫)、稲、草鞋へと姿を変え最後に海中に戻り、また春に戻ってきます。
移り変わりを地区ごとに分け、祭事として行われています。
伊雑宮の七本鮫 | 素戔嗚尊の狼藉・鮫は豊受大神の7人の姉(天白神)で、1人欠落します。これが岩戸の話へと繋がります。 |
天の羽衣 | 豊受大神の伝説が羽衣伝説の元とも言われています。 |
かんなぎ | ヒロインのナギの正体とも言われています。 |
一昨年から、正月に神社に訪れる学生さんの中から、「かんなぎ」という漫画の主人公、ナギの正体が波切神社の神様ではないかという話しがチラホラ出ていました。「かんなぎ」は部数200万部を超えるコミックスで、アニメーションはCBCの属する系列局が放送しました。
作者が急病で休載状態でしたが、本年10月にComicREXと言う漫画雑誌にて再開予定時期がアナウンスされるそうです。
そこで、チェックしてみました。
結果は、間違いないかな?と言うところで、美術部員、登場人物までもが市内の神様がモデルのようです。
特に、美術部員の構成が、ホームページに掲載していた祠の神だけで構成、しかもネーミングもそこから来ているところが特徴です。
ナギそのものは、地元の人たちより先に、日天八王子が豊受大神と同一神であることに気がついていた作者の知識力のすごさに驚かされます。
神社に以前よりかなりの学生さんが上がってきていたので、作者はそのうちの1人だったのかも知れませんね。
時期的には、三重映画フェスタの時期と重なり、その頃のホームページの内容がネタになっているようです。
おっくんとナギの関係は元恋人と言うところで躓きそうですが、ギリシャ神話を組み込んでいる事に気がつけば、おっくんとナギの関係も判る仕組みになっています。伊勢神宮の神楽歌を知らないとたどり着けない仕組みになっています。ギリシャ神話ではオリオンは死んでしまって、アルテミスは永遠の処女のままとなります。
当時の関係した観光情報誌の名前が「NAGI」。三重県伊勢市で発行されている雑誌で主人公と同じ名前です。
他に、一話毎の最後のイラストに謎解きのヒントが隠されています。
特に、木村貴子の設定は、ゴジラの着ぐるみを着せるなど、当時、地元の映画関係者で話題になったことをさせています。
汐見市の設定は志摩市と同じ、「漁業と観光の町」。阿児町には「汐見成」という地名があります。近くの横山石神神社の神様も竜神様。
鵜方の地名は潮の干満で出来る渦をみる所から来ています。つまり、汐見。神薙神社が、波切神社、汐見神社が横山石神神社かな?という感じです。
ナギの正体調査 | |||||
候補 | 確定した神 | ||||
七福神の回文 | → | 七福神の1人 | 弁財天・吉祥天 | ||
妹が居る | → | 市杵島姫命 | 弁財天 | 市杵島姫 | 海の神で土の神ではない。同一神 |
料理が上手い+御厨 | → | 御厨の神 | 豊受大神 | 豊受大神 | 生命の地母神ではない。同一神 |
市杵島姫は海の中の姿 | |||||
神木が違う | |||||
神木がナギの木 | → | 熊野速玉大社の神 | 国狭槌尊 | 国狭槌尊 | 料理が上手い神ではない |
土に関係する神 | |||||
上記が全て合致する神 | 日天八王子 | 国狭槌尊 | ローカル信仰の豊受大神 | ||
天にいる八王子神(市杵島姫) | |||||
ローカル信仰の国狭槌尊 |
登場人物の正体 | |||
登場人物 | 御神名 | 波切神社の社 | 備考 |
御厨仁 | 大己貴神 | 琴平社 | 大黒様・桂昌寺の本尊 |
熊野那智大社の主神・那智の滝は御詠歌の一番目に登場 | |||
仁は建立者の仁徳天皇の仁 | |||
神棚のアワビの貝殻はこの神様の信仰 | |||
好かれている女性は全て大己貴神の妻の化身 | |||
ナギ | 国狭槌神 | 日天八王子社 | 神木は熊野速玉大社のナギの木 |
料理が上手い=化身の一つ豊受大神=七夕の織姫・玉柱屋姫 第五幕 「発現!しょくたくまじんを愛せよ」 |
|||
裸を見られて意識した=化身の一つ三穂津姫命 | |||
三穂津姫命は大己貴神の妻 | |||
ギリシャ神話の月の女神アルテミスに相当 コスプレで月の王女をやった。 第六幕 「ナギたんのドキドキクレイジー」 |
|||
市杵島姫尊 | 春日社(比売社) | 七福神の回文→弁財天と同一神 | |
田切姫尊=市杵島姫の姉兼同一神(仁が昔見た穢れを払えるナギ) | |||
田切姫尊=大己貴神の妻 九鬼氏の神の迦毛大御神の母 | |||
上記2柱は同一神で国狭槌神と市杵島姫尊は海の上と中の違い。 | |||
須勢理姫尊 | 春日社 | 市杵島姫・田切姫の異母姉妹神(黒くなったナギ) | |
根の国の神で穢れに侵された神・穢れは大己貴神が除去 | |||
仁が見た黒い根 | |||
大己貴神の妻 | |||
ざんげちゃん | 湍津姫尊 | 春日社(比売社) | ナギ(市杵島姫・田切姫)の妹 第四幕 「シスターーズ」 |
大己貴神の妻(先代旧事本紀・度会神道) | |||
恵比寿社祭神の蛭子神と同一神の事代主の母 | |||
涼城白亜 | 大王崎灯台のキャッチフレーズが「白亜の灯台」 | ||
仁の呼び方「あくあ」→AQUAの主人公=水無灯 灯=大王崎灯台のマスコットキャラクタの名前 |
|||
青葉つぐみ | 八上姫 | 無し | 因幡の白兎。 |
ホームページで紹介した崎山の兎に関連した古名から鳥を連想? | |||
大己貴神の妻・後に須勢理姫尊が怖くて家出 | |||
響大鉄 | 八束水臣津神 | 韋夜社 | 大男である |
以前のホームページでは踏鞴製鉄の神、地響きの神を紹介 | |||
パレットナイフで描く絵が上手い。 | |||
嵐、暴雨風の神とホームページに記載した。 (嵐の神になるのは波切だけ) ダンダラボッチと同じく神様の智恵に翻弄される。 第八幕 「迷走嵐が丘」 |
|||
ダンダラボッチは「絵かきの町大王」を代表するキャラクタ | |||
涼城伶俐 | 素戔嗚尊 | 牛頭天王社 | 涼城は中国の地名・牛頭天王は中国の神 |
湍津姫尊などの父 | |||
和歌三神 | 住吉社 | 素戔嗚尊はギリシャ神話のポセイドン。オリオンに相当 | |
表筒男神、中筒男神、底筒男神の事。オリオン座の3つ星の事。 | |||
オリオンはさそりが苦手=毒さそり先生が苦手 | |||
ホームページにオリオンのベルトの話を記載した | |||
秋葉巡 | 火具土 | 天満の祠・秋葉山 | ホームページで迷うと書いたところを巡るに修正 |
天満の祠をホームページで紹介した | |||
祠前で映画撮影されたことを書いたところ、巡が映画監督役をやった 第十四幕 「もしもこんな『かんなぎ』があったら…」 |
|||
木村貴子 | 天宇受賣命 | 船頭の祠・賽野神 | 逆境ナインの主題歌の歌手・岡村孝子さんがモデル? 第十幕 「カラオケ戦士 マイク貴子」 |
逆境ナインは山際新平さん(船越出身)がプロデューサー | |||
芸能の神に芸能人の名前を当てた | |||
船頭の祠をホームページで紹介した | |||
大河内紫乃 | 豊玉姫 | 立石浦に転居 | 正体は鰐・名前は磯部川と石神神社の祝詞の一節 第十幕 「カラオケ戦士 マイク貴子」 |
磯部の川で拾われた子というのはこの神様の信仰 | |||
豊玉姫の話と磯部の話しをホームページで紹介した | |||
※豊玉姫+豊受大神=アルテミスとなるので、ナギの分御魂の可能性もある。 | |||
オズマ(大東) | 熊野夫須美神 /和歌三神 |
韋夜社・熊野社 /住吉社 |
名前と花形満ネタはジャイアンツの大道選手(船越出身)と巨人の星から。 但し、大王の大とホームページに記載した吾妻鏡(あずまかがみ)からの可能性もある。 |
大道選手は原作者の田舎、仙台楽天イーグルスの元選手。 | |||
パイレーツルック=海賊→波切は元海賊の本拠地 | |||
死者であることから根の国の住人。 | |||
根の国の神、伊弉冉尊の同一神(穢れを纏う神様) | |||
黄泉つ平坂の話をホームページに記載した。 | |||
最も可能性の高いのは海中(常世、根の国)の和歌三神。 ホームページに海中に沈むと別の神になる事を記載した。 |
|||
おっくんの服は涼城先生の服。 | |||
和歌三神はオリオンのベルト。→オリオンはアルテミスの恋人で死者。 →ナギ(アルテミス)の元彼氏という図式が成り立つ。 |
|||
毒さそり先生 | 白髭神 | 白髭社 | 海の神 |
白いひげがトレードマーク 第三幕 「スクールの女神」 |
|||
名前は夏の星座、蠍座? 伶俐が苦手としている。 | |||
神崎海有 | 豊玉彦 | 海神社 | 神崎は伊勢の地名 |
ホームページに「伊勢の神崎、国崎の鎧、波切大王・・」と記載した | |||
※上記はあくまで推測の域を出ていません・・が、この他に個人名など複数の事象で整合する物が有ります。 社、社跡はありますが実際に信仰のある複数の神を代表して社の中の一柱しか神社には記載していません。 市内の関係各所をリスト化してみました→「志摩市内かんなぎ巡礼地リスト」 |
この神様は平安時代にまで遡ることが出来ます。元を辿れば飛鳥、奈良時代に伊雑宮の信仰の有った地域が見えてきます。
特に飛鳥、奈良時代には出雲との繋がりが深い神様で当時の出雲と志摩の間に人の往来の多さを想像させられる神様でもあります。
時代 | 御神名 | 社 | 備考 |
平安時代〜 | 日天八王子 | 日天八王子社・八王子社 | 日天八王子の発生 豊受大神の信仰 |
江戸時代 | 文珠菩薩(五知のみ) | 比叡山から文珠菩薩の信仰が入り、一部で文珠菩薩と習合される | |
明治以降 | 国狭槌尊 | 現在の神社 | 熊野の信仰から熊野の文珠菩薩、国狭槌尊に変わる |
民話では韋夜神が知恵を絞ったとあります。国狭槌尊と韋夜神が同一神であれば神様が知恵を絞ったという話の下りは「文殊の知恵」に準えて仏教の説話に基づくことになります。
市内の磯部町五知にも祀られている神様で、五知とは文珠菩薩の剣を表します。
文珠菩薩は熊野信仰では国狭槌尊に習合される神様です。
神社には神名はありませんが、代わりに同じ社の金山彦の名を見ることが出来ます。
豊受大神の化身、三穂津姫命の夫です。
わらじ祭りには大黒様として登場します。
出雲の熊野に住まう神様たちです。
韋夜神は宮司家から見つかった資料には「闇淤加美神」と書かれています。別名、伊射那伎乃真名子。民話の原型の熊野大社の神様も伊射那伎乃真名子ですから同一神とも見ることが出来ます。
この地域の素戔嗚神は牛頭天王から明治時代に変わったものと言われています。
牛頭天王=素戔嗚神とする信仰は日枝神社の信仰で、地域によっては下照比売神が牛頭天王であるとしている所もあります。
伊勢志摩の素戔嗚神の信仰は武塔神の信仰で牛頭天王の信仰より古いため、後から神仏習合され牛頭天王の名が付いたものとおもわれます。
紀州系熊野社の祭神は伊弉冉尊、出雲系熊野社の祭神は素戔嗚尊です。
出雲系の熊野社の場合、かなりの地域で御神体は岩となっています。大王島を御神体に喩えると、後に韋夜叉島と、「夜叉」の文字が入ることもつじつまが合うことになります。
牛頭天王の信仰はかなり後から入ってきます。頭が牛で夜叉の様な神様が牛頭天王です。
元々、出雲の信仰があった上に、紀州の八大龍王の信仰が重なると、大王島の古名も二つの信仰の上に成り立っていることが想像できます。
事代主神は賀茂氏の神様です。志摩には八雲神社などに牛頭天王社の一柱として祀られています。釣り好きで漁業の神様でもあります。その昔、韋夜社自体が漁業の神様であった事と、出雲の揖屋神社の神様なので祀られていたのはこの神様かも知れません。
神話では、知恵の働く神様として知られています。また、蛭子神とも同一視される神様でもあります。
わらじ流しの際に歌われる歌がヨイコロ節。内容は補堕落渡海の歌です。
わらじに乗っているのは伊雑皇大神の伊佐波登美命。別名、少彦名神となります。
紀州の熊野出身の神様です。
何れも、海の神様で、蛭子神は恵比寿様としても祀られています。八大龍王は紀州熊野からダンダラボッチを追い出した神様と言われています。出雲の熊野には存在しない神様で、この地域に伝えられた際に、八大龍王の信仰が加わった物と思われます。
住吉三神です。紀州の熊野にも祀られている神様で海の交通に関係する神様です。
筒は星を表し、オリオン座の三つ星に相当する神様です。海中に没すると別の名前に変わるなど2つの名を持つ神様です。
和歌の神様でもあり、大伴家持の赴任地に時々祀られている神様です。
家持の歌に「志摩の海人ならし真熊野の小舟に乗りて奥へ漕ぐをみゆ」という歌があります。
場所を推定するとき、歌の中に含まれているキーワードをピックアップする訳ですが、この場合、「志摩の海人」=志摩の漁師、「真熊野の小舟」=熊野川を遡る船なので熊野と繋がりのあった地域=熊野信仰があった地域となります。
志摩国で熊野信仰の有った地域は鳥羽市相差より南側の地域となり、当時、クを成していたのは伊雑クと名錐クになります。
後は、和歌の神様が祀られている所を捜せば良いわけです。
皇大神は伊勢神宮内宮の天照皇大神、一般的には天照大神とされています。
大山祗神は伊勢神宮に祀られている神路山の神様です。
波切と神路山の信仰は深く、神路山の天の岩戸を再興した人たちは波切の人たちです。この為、波切の家庭にある神棚には神路山にある天の岩戸の石がよく祀られています。
天照皇大神 は別途、伊雑皇大神として祀られており、異なる神様で有れば、日本で大御神を名乗る神様は迦毛大御神のみで、賀茂氏の神様、阿遅志貴高日子根神になります。
阿遅志貴高日子根神は、賀茂氏の神様です。また、その子供、多伎都比古の別名が、石神と呼ばれています。つまり、ダンダラボッチの伝説が残る石神神社と同じ名前になるわけです。阿遅とは古事記では「可美(うまし)」とされ、伊勢志摩の代名詞「美まし」と同意語になります。
波切には天白という地名があります。志摩では他に名前を見ない地名ですが、星神の社を中心とした地域です。この天白神ですが、伊勢神宮では星神を指します。これは外宮で行われる神楽の中に「天白は星の次第の神」と歌う一節があります。
現在、星神は桂昌寺に祭られ、その名残りが、天白という地名で北斗が祀られています。
豊受大神宮の神様、豊受大神も元は星神です。北斗七星が7人の姉に当たり、地上に残ったのが豊受大神です。
伊雑宮の御田では、この日に七匹の鮫が川を上ってくると言われています。元7匹で一匹は食べられてしまったとされていますが、七匹が北斗七星に相当します。
こぐま座のβ星、コカブが太一(アメノミナカヌシ)または天照大神に相当するわけです。
船越神社の北斗の木は姉たちを指します。
豊受大神は後に、天に帰り星になったと言われています。この星が織女星。七夕の織姫様。
古い羽衣伝説と言われ、出雲の美保神社の神様、羽衣伝説で有名な松原のある静岡市の美穂神社(旧清水市)の神様は全く同じ、三穂津姫命で、稲穂の神様です。
この星の隣にある平行四辺形の星々の平安時代、出雲で語られていた和名の一つが菜切星。平安時代の波切の地名、菜切と同じ名前となります。
本来は、中国の神仙思想から来ている物で、志摩地方、特に「おう」と名前の付く地名に囲まれた地域で語られる民話の多くはこれに基づいています。
安乗の「龍宮へ行った海女」と伊雑宮の「玉手箱」、和具大島の「龍宮の井戸」と片田稲荷の「浦島太郎」、志摩地方で神棚に祀られている「鮑の貝殻」と波切の「補陀落渡海」は徐福の信仰、和具大島の市杵島姫は織姫→市杵志摩姫(出雲の神様・水底で機を織る神)→弁財天(水の神)→市杵島姫へと変遷したものと思われるなど志摩の民話には多くこの思想が見え隠れしています。
一般的に天白神は麻績天長白羽神とされ、伊勢神宮の神人が伊勢北西部の土着の神、麻績天長白羽神を広めたものとされています。
しかし、民話を辿ると、元は豊受大神の7人の姉です。
神楽歌には月の輪に舞えとあります。月に輪が出来ると薄雲が出ているので雨が近いことを意味します。この状態では天は白くなります。故に天白。
また月の通り道は白道。この白を取った名前かも知れません。
川の神であるのは、雨を知らせる神なので雨が降れば川は増水故に川の神でもあります。天白の名を付けた川などはこの系統です。
所が、この神様、7人の娘ですが、妹、同様機を織る神様です。故に、麻績氏の神様、麻績天長白羽神と同一神とされるわけです。
また、この神様、神様の機織り小屋に勤めている神様でもあります。ここに乱入したのが素戔嗚尊。そこで1人欠落してしまうわけです。
この話しが天の岩戸の神話へと繋がります。
伊雑宮の民話は春、川に水が戻ると川の神の天白神が川に戻ります。川の復活と伴に人や動物に多くの命が生まれます。子宝の象徴が鮫で、姉を子宝の分身に喩えたわけです。鮫は豊玉姫の信仰でもあるので、一緒に豊玉姫がやってくるわけです。
波切の氏神様です。
天児屋根神の別名が王位と呼ばれ、老の浜の呼び名になったかも知れないと言われています。
近隣では片田にも祀られています。
波切神社の元となった、春日社の神様です。祭壇は現在の社殿の西側にあります。神名は天児屋根神しか記されていませんが、宮の数は4つあり、各々、春日社の神様が祀られていました。元々、藤原氏の神様で、名乗りの際に「とうじさいわいさいわい」と子供たちが言う言葉は「藤氏」つまり、「藤原氏幸い幸い」という意味です。
比売神は天児屋根神の奥さんと言われていますが、和具大島の神様、市杵島姫ともされることがあります。
何れも、熊野の神様です。火祭りの神様で、猿田比子神、金山彦神が波切神社に祀られています。
波切の人たちの信仰のある、熊野那智大社の神様たちで、火祭りは那智大社の火祭りを模している物と思われます。
那智大社での由来は、神武東征の話で、山の神の厄災をなぎ払う神話に基づいています。
猿田比子神が道案内役をし、布都御魂が波切丸に相当します。また、賀茂武角身は堂の山に宝物で祀られています。金山彦神は物語では、賀茂武角身神の後に登場します。
布都御魂は刀で、その製作者は春日社の経津主神です。また、布都御魂は石上神宮の神様で、祀っていた物部氏の親神宇摩志麻治尊の名前には、志摩の古名を指す志麻の文字を見ることが出来ます。その昔、志摩を治めていたのかも知れません。
金山彦神この神様は金比羅社の神様でもあります。
出雲、紀州、奈良の複数の神社では金比羅社を祀る際に、大物主、つまり大国主の代わりにこの神様を祀ります。天つ神系の神社では金山彦に名を変えているのかも知れません。
波切だけいきなり讃岐系の金比羅さんとは考えにくいので、明治の人は周囲の金比羅さんに習ったのではないかと思われます。
出口とは村の出口の事でそこに祀られているのは賽神(さいのかみ)です。つまり、猿田比子神というわけです。
神話では、熊野で毒気に困っていた神武天皇のため、天照大神、高御産巣日神、経津主神が高倉下(たかくらのむらじ)に神託を与えます。そして神託通りに出てきたのが、布都御魂。剣だったわけです。山の神の毒気をそれで打ち払い、神武天皇は熊野を進んでいきます。
この時の様子を祭りにしたのが、那智大社の火祭りで、波切の火祭りもそれを模しています。
ここに登場する高御産巣日神も賀茂氏に絡んでいます。国譲りの神話で、大国主の元に行った天若日子がなかなか戻らないので、高御産巣日神が雉の泣き女を使わせたところ、阿遅志貴高日子根神の妹、下照姫と結婚してしまった天若日子が怒り、雉を矢で射殺してしまいました。怒った高御産巣日神が返す矢で天若日子を射殺してしまいました。阿遅志貴高日子根神と、天若日子がうり二つの神様であったため、死者に間違われた阿遅志貴高日子根神が喪宮をぶち壊してしまうと言うお話です。
阿遅志貴高日子根神は賀茂氏の神様で、熊野の火祭りの登場人物、賀茂武角身神と同一視されることがしばしばある神様です。
この賀茂氏の名残が鳥羽市岩倉町にある加茂です。
物部氏は伊雑宮を援助していた的矢氏の祖先とも言われています。特に、賀茂氏との繋がりが深く、賀茂氏の勢力下には、物部神社などが数多く存在します。
石上神宮ですが、志摩に縁のある人が関係しています。万葉集で志摩を詠った、柿本人麻呂と石上麻呂の2名です。
柿本人麻呂は「安居の浦船乗りすらむ乙女らが玉裳の袖に潮みつらむか」と詠い、歌碑が和具と、波切の間の英虞湾側にある国道沿いに立っています。石上麻呂の石上は物部から変わった物と言われています。この人は、阿児の行宮で「わぎもこを いざ見野山の高見かも 大和の国見えぬ遠見かも」と詠った人です。古文書の中には柿本人麻呂の歌が引用されている物も有ります。
この人たちが活躍した時代から次の時代にかけて一時的に波切の「切」の字が「錐」に変わります。石上神宮ではこの錐が重要な役目を持っていて、火錐という道具を扱う人を選任していました。この時代、何らかの繋がりを持っていたのかも知れません。
那智大社と言えば徐福の伝説です。
日本に不老長寿の薬を求めやってきた徐福ですがその信仰の一端をこの地域ではアワビの貝殻に見ることができます。
アワビの貝殻の穴の数が多いほど長寿の印とされ、花山天皇が那智の滝にアワビの貝殻を奉納したのが神棚に赤飯を入れお供えする風習の始まりです。志摩から熊野灘一帯の家庭で見られる信仰です。
この熊野信仰のために川を遡った船が真熊野船。大伴家持の歌に登場する船です。
火祭りの関係するお寺の桂昌寺は臨済宗妙心寺派のお寺ですが、那智の滝の信仰は妙心寺派の信仰にも取り入れられています。
妙心寺の御詠歌の第1番に、紀州の補陀落、那智の滝が登場します。古くから妙心寺と繋がりがあったわけですね。
この那智の信仰に補陀落渡海と呼ばれる捨身行があります。行者が海の向こう、常世に渡る行ですが、日本書紀では「少彦名命、行きて熊野の御碕に至りて遂に常世郷に適しぬ」とされ、常世に渡るのは少彦名命とされています。
波切の信仰 | 那智大社の信仰 | |
火祭り | = | 火祭り |
わらじ流し・補陀落山像(那智大社の神紋入り) | = | 補陀落渡海+豊受大神の信仰 |
桂昌寺脇侍 十一面観音菩薩 | = | 那智大社本尊 十一面観音菩薩=大己貴命 |
また、桂昌寺の脇侍と那智大社の本尊は同じ十一面観音菩薩です。
この十一面観音菩薩は那智大社では大己貴命とされ、波切の天白の由来となった星神が菰野町と同じ多比理伎志摩流美神であれば、その五代後の子になります。
志摩で天白神を星神としているのは波切だけしか見あたりませんが、伊勢神宮外宮の神楽歌の中に、「天白神は星神」と歌われ、古くからこの地域で信仰があったものと見られています。
そして、火祭りの歌の中にも伊勢神宮が登場します。火を掻き上げた際に「お伊勢さんに上げる」という一節が登場します。
熊野那智大社から伊勢神宮の外宮まで繋がってしまったわけです。
志摩に於いて、幾つかの地域の地名の由来ともなった神様です。神功皇后にまつわる民話が志摩に残されており、御座、浜島の由来ともなったようです。
台風で海が荒れ、神功皇后の乗る船が志摩町御座に足止めを食ってしまうこととなりました。そこで食糧が尽きかけ、近隣の住民に支援を求め、矢文を放ちました。この矢文の流れ着いたのが浜島町の矢取り島。そしてご飯の炊き出しを行ったのがきっかけで飯米島が鈍って浜島という名前になったそうです。また、御座の地名の由来は、神功皇后が一時的に御在所にしたことからその名前が付いたそうです。
学問の神様として世に知られた神様です。
古くは荒見天神として祀られていました。荒見とは北野天満宮などで見られる禊ぎのことです。
この名残が、天満という地名に見られます。
御食つ国を代表する神様です。白髭神は海女の神様。宇賀御魂命はお稲荷様で、波切神社敷地内、その他数多くの場所で祀られています。その大元は伊勢神宮外宮の神様、豊受大神に由来します。
志摩市阿児町鵜方の地名の由来ともなっているわけです。
古くから信仰のあった神様で、数多くの祠を町中に見ることが出来ます。。
波切は、天候により早朝に富士山が見えるため、富士山の神様が漁港に祀られています。