ｋａｔｙを導入したダイヤモンドダイニング（東京・港）は、テーブルに同サイトの告知ＰＯＰ（販促媒体）を設置してユーザーの会員登録を促し、新規顧客の獲得から定着へとスムーズにつなげているという。今後は顧客データの活用でさらに深いマーケティングを実施しようとしている。

　ライブドアのロケタッチは、スマートフォンなどに搭載されたＧＰＳ機能を使って自分が訪問した場所を記録し、自分だけの地図を作成したり友人と情報共有したりできるサービス。記録した内容によって「シール」がもらえる場合もあり、ユーザーの遊び心をくすぐる仕掛けだ。誰がどんなことに関心を示すかがわかるので、きめ細かいマーケティングにもつながる。当日もジオメディアサミットのシールを配布していた。

公共用途から個人向けに

　位置・地理情報は長らく、地図や測量といった企業が扱ってきた分野だった。ジオメディアサミットも「Ｇ空間ＥＸＰＯ」と呼ばれる測量や地図のイベント内で開催されている。Ｇ空間ＥＸＰＯは、カーナビゲーションシステムや災害マップ、地域安全などに衛星を使った位置・地理情報を活用しようという企業や研究機関が出展し、個人のユーザーというより地方自治体など公共向けの色合いが濃い。

　しかし最近は、スマートフォンで手軽にインターネットにアクセスして、個人の位置情報を簡単につかめるようになった。米国ではフォースクエアが位置情報に基づくソーシャル・ネットワーキング・サービス（ＳＮＳ）で急伸し、米フェースブックも位置情報サービスを始めた。これらのソーシャルメディアでは、ユーザーの位置情報と店舗や交通機関の情報を組み合わせることで新たなサービスを生み出している。今回のジオメディアサミットでは、大手だけでなく個人の技術者や大学の研究室も新サービスや技術を披露して盛り上がりを見せていた。位置・地理情報の活用は新たな段階に入りつつある。

藤代裕之（ふじしろ・ひろゆき）
ジャーナリスト・ブロガー。1973年徳島県生まれ、立教大学21世紀社会デザイン研究科修了。徳島新聞記者などを経て、ネット企業で新サービス立ち上げや研究開発支援を行う。学習院大学非常勤講師。2004年からブログ「ガ島通信」（http://d.hatena.ne.jp/gatonews/）を執筆、日本のアルファブロガーの１人として知られる。