「第６回ジオメディアサミット」が９月20日に横浜市内で開かれた。「ジオメディア」とは「位置・地理情報を活用するメディア」のこと。これまでは災害対策や測量といった分野で活用されてきた位置・地理情報だが、最近は携帯電話の全地球測位システム（ＧＰＳ）を活用したソーシャルメディアやソーシャルゲームが増えており、多くのネット企業が新たなビジネスの種として注目している。

　ジオメディアサミットを主催した「ジオメディアサミット運営実行委員会」は、位置・地理情報にかかわる企業の有志がボランティアでスタートさせた交流会が母体だ。2008年に60人で始まった同イベントは、10年３月の第５回には参加者が300人に膨れ上がった。今回は会場の都合で定員170人のところ、約250人の申し込みがあり、ネットでも生中継された。プレゼンテーションやパネルディスカッションに20社２大学が登壇し、夕方まで活発な議論が続いた。

　モバイル関連を手がけるシリウステクノロジーズ（東京・港）の研究部門でジオメディアサミットの運営を担うシリウスラボの関治之所長は、「２年前は話題が少なく、時間をもらっても話すことがなかったが、最近は多くの話題があり時間が足りないぐらい」と話す。

ネットとリアルの世界を組み合わせ

　ネット各社が力を入れているのは、以前に比べて個人ユーザーの位置情報が取得しやすくなったからだ。誰がどこにいるかを把握できれば、きめ細かいマーケティングや販売促進につながる。たとえばユーザーが駅にいるとわかれば、駅前商店街の特売情報をメールで携帯電話などに送信したり、近辺にある店舗のクーポンを配信したりして、集客に結びつけることができる。

　従来もユーザーの位置情報を活用するアイデアはあった。だが「マーケティングに使いたいので、あなたの位置情報を入力してください」と言われても、プライバシーを気にして入力に抵抗を示すユーザーが多かった。そこで携帯電話を使ったソーシャルゲームなどと組み合わせて、心理的なハードルを低くした。最近は「ゲームを楽しめるなら」と、むしろ積極的に位置情報を入力するユーザーが増えている。

　ジオメディアサミットのビジネスセッションでも、ソーシャルゲーム「コロニーな生活☆ＰＬＵＳ（プラス）」を提供するコロプラ（東京・渋谷）や、携帯電話向けの店舗サイト作成ツール「ｋａｔｙ（ケイティ」）を手がけるマイネット・ジャパン（東京・中央）、オリジナルの携帯電話向け地図を作れる「ロケタッチ」を提供するライブドアが登壇。サービスの現状や今後の事業展開などを発表していた。いずれもネットとリアルの世界を組み合わせているのが特徴だ。