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高齢者を経済的虐待 倍増…神奈川
預金無断引き出し ■ 年金満額渡さず
神奈川県は24日、県内で2009年度に家庭で家族などから虐待を受けた65歳以上の高齢者数が594人に上ったと発表した。前年度より10人増えており、高齢者に対する虐待が、依然として高止まっている実態が浮き彫りとなった。
なかでも、預金を勝手に引き出すなど経済的虐待が倍増しており、県高齢福祉課は「不景気の影響で、親の財産を不当に処分する人などが増えた」と分析している。
調査は、高齢者虐待防止法が2006年4月に施行されたことを受け、06年度から行われている。
調査によると、虐待の内訳(複数回答)は、暴力など身体的虐待が384件で一番多く、次いで言葉などによる心理的虐待が244件、財産を不当に処分するなど経済的虐待が162件、世話を放棄するネグレクト158件の順となっている。このうち、経済的虐待は、前年度比74件増と倍増している。
虐待を受けた高齢者の数は07年度の629人に次いで2番目に多かった。虐待を受けた高齢者のうち女性は455人で約77%。虐待したのは、息子が最も多い256人(約44%)、夫が130人(約23%)で、男性による虐待が7割近くに上った。同課は「職を失った息子が親と同居し、年金を満額渡さなかったり、暴言を吐いたりして、経済的・心理的な虐待をするケースが目立っている」としている。
一方、介護施設で職員による虐待があったのは、横浜市や川崎市などの8施設。虐待を受けたのは9人で、前年度に比べ3人増えた。このうち7人が、介護の必要性の高い要介護度4か5に認定されていた。身体的虐待が6件、心理的虐待が2件、性的虐待が2件で、介護職員が、介護を嫌がる高齢者に平手で顔や頭をたたくなどしたという。
県はこれまで、虐待防止のため、介護職員や看護師向けの研修や相談を実施しており、今年度から介護施設従事者から虐待通報を受けた場合の対応マニュアルを市町村に配布している。
(2010年9月27日 読売新聞)
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