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Time53. Determination （決意）
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謎の若い男とのデュエルに敗北し、罰ゲームを受けて、この世を去った真山一輝（享年16歳）。
…のはずだったのだが―――
「――いや、1つだけ方法がある」
須晋が呟いた。
すると、加奈、和博、天雨の3人は一斉に須晋の方を向いた。
「どういう―――ことですか？」
天雨が須晋に向かって言った。
須晋は少し俯いて、一瞬無言の時間が流れたが、ゆっくりと口を開いた。
「一輝を―――生き返らせる方法がある」
その言葉を聴いた瞬間、3人は一瞬固まったが―――加奈が真っ先に須晋に走り寄った。
「お父サマ、それは一体――!? 一輝にまた会えるの!!!??」
加奈は興奮して須晋の方を揺すった。
「――ああ。正確に言うと『生き返らせる』ではなく『死なせないようにする』なんだが…」
3人ともよく分からない、という顔をした。
「――説明しよう。一輝は『創造神プタハ』というカードにとどめをさされてしまったのだよな」
加奈は、あの大量の植物で覆われた、薄気味の悪い『神』を思い出し、身震いをした。
「マリムさんに聞いたのだが、あの『創造神プタハ』は、盗まれた『三大旧神』の1枚らしい」（この話はTime50参照）
「!?」
「私が今開発中の『タイム須晋�掘戮�もうすぐ完成なのだが、これで遥か昔にタイムスリップして―――カードが盗まれるのを防げば、一輝も死なない。こうして生き返らせる」
「!!!????」
――驚くのも無理はない。過去を変えて、未来を救う。
「お父サマ…このカードがいつどこで盗まれたのか分かるんですか？」
「これは、イシュタール家に代々伝わる石版に記録されているのを頼りにするしかない。場所は、イシュタール家が代々守り継いできたピラミッドだ。時は、石版に年と日付まで記録してある。これを計算しなおせば出るはずだ」
――あまりに無謀。ここにいる皆、須晋も含めてそう考えた。しかし――
「やるしかないじゃない」
加奈がとても真剣な表情になっていた。
「――ああ、そうだ。一輝を救えるなら何だってするさ」
和博はやる気に満ちている感じだ。
「私も…一輝さんに会いたいです」
天雨も一歩前に出た。
「みんなやってくれるか！」
須晋は嬉しそうな表情を浮かべた。しかし、少し曇り顔だった。
「――ただ、この『タイム須晋�掘戮呂泙声存獲僂如�1人乗りなんだ。全員が乗れるタイプも作れそうなんだが、とにかく時間が――」
「時間が経ってしまうと何かまずいのでしょうか？」
天雨が心配そうに言った。
「――ああ。あの若い男、もしかしたらまたここに来るかもしれない。また犠牲者が出てからでは遅い。それに、早くしないと他の要因によって時が変えられてしまう可能性がある。何にせよ、早い方がいい」
その場は一瞬静まった。しかし、加奈が沈黙を破った。
「―――私が行きます」
須晋は驚いた表情で加奈の方を向いた。
「ダメだ、危険すぎる。ここは私が行く！」
須晋は加奈を制止しようとした。しかし――
「一輝をこんな目に遭わせてしまったのは私の責任です！ 私がどうにかしないといけないんです！ それに――もう誰かが犠牲になるのは嫌なんです!!」
3人は、もう加奈を止められない、と悟ったのか黙ってしまった。
しかし、和博は加奈の方を向いて、下を見ながら言った。
「俺も加奈さんを犠牲にするなんて嫌だ。犠牲なんて言わないでくれ。絶対帰ってきてください」
加奈はそれを聞き一瞬キョトンとしてしまったが、その後ニッコリ笑い、和博の肩をポンと叩いた。
「ありがと！」
―――4人は、工場のような建物の中に入ってきた。そこには様々な機械があった。
「あれだ」
須晋が丸い機械を指差した。『タイム須晋�掘戮蕕靴ぁ�そのマシンの前に、須晋の妻・芽花がいた。
「ダーリン、準備は完了よ！」
「おい！ その呼び方はやめろ！ｗ」
芽花は『タイム須晋�掘戮寮鞍�をしていたらしい。
「さて、これで過去に行くのね―――」
加奈は緊張しながらマシンに乗り込んだ。食料その他が入った鞄やデッキをチェックしている。
その間、須晋と芽花はスリップ先の情報をマシンに入力していた。
「…よし！ こっちはオーケー！」
「こっちもオッケーです！」
両者準備完了したようだ。
「…さて、加奈ちゃん、これから君が行くのは、西暦1506年4月20日の、エジプトのあるピラミッドだ」
「はい」
「君にそのピラミッドの地図は持たせたが、地図に赤丸が付けてある所がカードの保管場所と推定されている。タイムスリップしたら、まずそこへ向かってほしい」
「はい」
「邪魔者がいたとしても、『創造神プタハ』の影響で、デュエルをして、勝ったら先に進めるようになっていると思う。だが、そうでない時の武器にスタンガンは持たせた」
「はい」
「そのカードを入手し、イシュタール家に厳重に保存してもらうように頼むか、それがダメそうならこちらに持ち帰ってきたほしい」
「はい」
「こちらに戻ってくる時も全てこのマシンだけでOKだ。――あ、あと、このマシンには、時の管理者『タイム・ルーラー』との自動交渉機能が付いているから、『タイム・ルーラー』とデュエルする必要はない。以上だ――」（詳しくはTime14参照）
須晋は芽花に合図を送った。芽花がボタンを押すと、マシンのカプセルが閉じた。
加奈が中から手を振った。4人とも手を振り返した。マシンは徐々に光に包まれ、そして消え去った。芽花の前にあるモニターには『タイムスリップ成功』の表示が出ていた。
本当に、ただ友人が明日会う約束をして『バイバイ』しているような別れだった。必ず戻ってくる―――そう確信しているからこそ、できたのである。
●後書
一号「おぉっと急展開！ 加奈さんが主人公役ですかね？？？」
一輝霊「えぇー、奴に俺の代役が務まるのかねぇ。ちなみに加奈のデッキって何だっけ？」
一号「あー…過去にデュエルしたような記憶がありますが…忘れました！ てかこの時代で色々買い物したようで、新しいデッキができてるようですよ〜」
一輝霊「おぉー楽しみ！ …てか作者、今日の後書きはギャグの1つもないのかい？」
一号「無いです！ 眠いし！」
終。
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Date: 2006/04/20
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