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順調に会社を成長させるも |
大きな挫折を経験する |
羽田 まずは社長の歩みから伺います。
藤山 愛知県豊田市出身で、建設関係の会社を営む父のもとで育ちました。若いころはアメリカに渡ったりするなど自由にさせてもらいましたね。その後は父の会社に入社して修業を積んでいたのですが、26歳のときに父が他界したことにより、代表職に就任することになりました。
羽田 お若くして代表の座に就かれたのですね。ご苦労も多かったのではありませんか?
藤山 ええ。自分よりも遙かに年上の経営者さんたちと渡り合わなければなりませんでしたから、大変だと感じることは多かったですね。そんな中で支えになったのが亡き父の存在でした。父は無一文に近い状態から会社を立ち上げて、地元では名士と言われるまでに会社を成長させてきた人でしたので、私もその父の存在を励みにして何ごとも一生懸命取り組んだのです。その結果、愛知県内の出荷数量1位を3カ月連続で獲得できたんですよ。
羽田 お父様への思いを力に変えて歩んでこられたと。その勢いでその後も順調に歩んでこられたのでしょうね。
藤山 いえ。仕事ばかりに気を取られて社内体制をおろそかにしていたことが災いし、組織がバラバラになって、私はその仕事から離れざるを得なくなったんです…。当時の私にとっては仕事が全てでしたから、生きがいを失った感じになりましたし、その後の数年間は自分を見失いかけていましたね。
羽田 そうなんですか…。辛い経験もたくさんされてきたのですね。
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堅実な姿勢を貫いて |
周囲のために力を尽くす |
羽田 では、その状況からどのようなきっかけではい上がることができたのでしょう。
藤山 改めて自分に何ができるかを考えたときに、独学で勉強してきたパソコンの知識を活かせるのではないかと思いつきました。そこで一念発起し、サイトを立ち上げてインターネット通販事業を開始したのです。その後、友人からの紹介でプログラマーさんを紹介してもらうなど、周囲の協力を得ながら体制を整え、業務を拡大してきたのです。その中で、今の仕事を始めるヒントを得たのですよ。
羽田 具体的にお聞かせ下さい。
藤山 インターネットショッピングで商品を購入する際に、クレジットカードを安心して使用できるシステムを構築したのです。クレジットカードの使用を敬遠される方の多くが、その理由をwebショップに信頼性が欠けるからだとおっしゃいますから、大手カード会社が公認したショップという信頼を得ることができれば幅が広がるのではないかと感じたのですよ。
羽田 なるほど。確かに顔の見えない相手にクレジットカードを使ってお金を払うのは不安がありますものね。では、現在はその業務を中心に?
藤山 はい。クレジットカード決済代行システムの運営をメインに、モバイル広告配信システムの運営や広告代理店業務、ソフトウェア開発などを手掛けています。
羽田 お仕事上で大切にしておられることは何でしょう。
藤山 どんなことがあっても一度交わした約束は守ることです。周囲との信頼関係は約束を守ってこそ築けますから。たとえばモバイル広告の仕事では、広告を募集される方と掲載したい方、そして広告を見られる方それぞれの立場を尊重し、全ての方に満足して頂ける結果を求めることをお約束しています。その約束を果たせてこそプロですし、それができないようなら仕事をする資格すらないと思っているのです。また、私が今こうしていられるのは、周りで支えて下さった方々がいたからこそですから、感謝の気持ちは忘れないようにしています。
羽田 非常に誠実な姿勢でお仕事をされているのですね。
藤山 はい。“誠実であること”が、私にできる唯一のビジネススタイルだと思っていますからね。私が会社を運営する際に大切にしているのは「決して思い上がらないこと」なのです。少し会社の調子が良かったりすると「自分が一番だ」「私は偉いんだ」などと自惚れてしまいがちですが、上を見れば自分よりも素晴らしい経営者さんはたくさんいらっしゃいますし、足下をすくわれる危険があります。慎重すぎる経営方針だと、勢いよく進んでいかれる企業さんに比べてリターンは少ないかもしれませんが、あくまでも自重することを忘れず、堅実に自分なりの歩幅で歩んでいこうと決めているんです。
羽田 それが成功の秘訣だと?
藤山 いえいえ。私は成功したという気持ちは全くありません。ただ、「社会の役に立てれば」という思いで自分ができることを行ってきた結果、多くの人から頼りにして頂いていることは嬉しく思っています。
羽田 それでは最後に将来の抱負を。
藤山 将来的には自社ビルを建てるなどして、もっと周囲の人と社会に貢献できる企業になれれば嬉しいですね。その目標に向かってこれからも全力で日々取り組んでいきたいと思います。 |