2010年9月28日22時38分
【エルサレム=井上道夫】イスラエル軍は28日、パレスチナ自治区ガザに支援物資を届けるためイスラエル沖の地中海を航行していた英国籍の小型船「アイリーニ号」を拿捕(だほ)した。イスラエルや欧米のユダヤ人人権活動家ら約10人が乗船。けが人はいない模様だが、体調を崩している乗船者がいるという。軍兵士が同号に乗り込み、イスラエルのアシュドッドに入港した。
アイリーニ号は、ロンドンに本部を置くユダヤ人人権団体などが、イスラエル政府によるガザの境界封鎖に抗議するために組織。医療品などの支援物資を積み、26日にキプロス島北部の港を出港した。
ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)から生還したイスラエル人男性(82)や、1997年にエルサレムで起きたイスラム組織ハマスによる自爆攻撃で娘(当時14)を亡くした父親らが乗船している。
団体側は「ガザの境界封鎖はパレスチナ人の人権を踏みにじっているだけでなく、イスラエルの利益にもならない」と話している。
イスラエル軍は今年5月末、ガザに向かう支援船に強行突入し、トルコ人ら9人を殺害。国際社会の批判を浴びたイスラエルは、陸からガザに運び込む物資の規制を緩和したが、ガザの武装勢力による武器密輸を警戒し、海域封鎖は解除していない。